『なつぞら』がスター俳優揃いの朝ドラとなった理由 広瀬すずを中心としたキャスティングの裏側

『なつぞら』制作統括がキャスティングを語る

「マンネリを打ち崩すには、キャスティングが重要」

ーーまた、アニメーション編では、山寺宏一さんをはじめ実際の声優さんを起用しています。

磯:声優さんのように全く異なる才能を持った人が入れば、それに対応しなきゃと俳優さんも芝居を考えます。その芝居が面白くなればライブ感に繋がって、新鮮な空気感が生まれる可能性もあるんです。朝ドラは、非常に広い世界を描きながら、映像はこじんまりとしたセットで展開していくので、その空間の広がりを見せたり、マンネリを打ち崩すには、キャスティングが非常に重要な要素です。

 柴田家のセットは、作中で何十年経っても変わりませんが、新しく若手の子役を入れることによってそこで起こる芝居が変わっていくのと同じように、『なつぞら』の世界観に異分子やフレッシュな人を入れることによって、どんどん刺激が生まれて変わっていく。大河ドラマみたいに、ある程度規模もあってセットを転換させたり、状況もどんどん変えられるのも面白いのかもしれないけど、朝ドラは、基本的にセットドラマで映像的にはそれほどバリエーションを作れない分、やっぱり役者が背負う部分が大きいドラマだと思いますね。

ーーそれで言うと、なつの生き別れた妹・千遥の存在も大きかったですが、清原果耶さんのキャスティングはどのように?

磯:千遥の本格的登場については、どのように受け止められるか、予想がつきませんでした。それまでは子役時代に登場しただけで、14週で千遥として清原さんが出た時に、どのぐらいの視聴者の関心を集めるのかは当初あまり読みきれてはいなかった。僕自身は、千遥の登場はあそこまでインパクトを持って受け止められるとは思ってもいなかったんです。

 台本ができる前の段階から、千遥という存在が登場することは決まっていたので、清原さんには出演交渉をしてました。重要なキャラクターだし、なつとはその人生が合わせ鏡みたいなところがあります。初めはなつとぶつかっていくように見えた方が面白いと思ってオファーしたんです。清原さんは映画『ちはやふる』で広瀬さんのライバル役を演じていますよね。あの関係がとても印象に残ったし、『透明なゆりかご』なども清原さんの演技は、若さとか初々しさをすでに超えたレベルにあると思っているので是非お願いしたいなと。清原さんはこれまでのドラマの流れを変える、異分子的な入り方ができるぐらいのインパクトとエネルギーを持ってる人で、今までのなつとは異なる表情になる瞬間を出したいと思ったんです。

(取材・文=安田周平)

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、岡田将生、比嘉愛未、戸田恵子、清原果耶、中川大志、染谷将太、川島明、渡辺麻友、伊原六花、犬飼貴丈、藤本沙紀、粟野咲莉、増田光桜、貫地谷しほり、山口智子、草刈正雄 ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる