『監察医 朝顔』上野樹里が時折見せる儚げな表情 朝食シーンでの父娘の会話が意味するもの

『監察医 朝顔』朝食シーンが意味するもの

 着目すべきもう一つの点は、朝顔と山口智子演じる主任教授・茶子とのコントラストである。

 第2話まで見る限り「明日、死ぬかもしれないから」がモットーの茶子はひたすら明るく描かれており、まるで悩みなど微塵もないように見受けられる。しかし、それは深い哀しみの裏返しであるとも読み取れる。

 もしかすると茶子にも過去、生きる目的を喪失するほどの強烈な経験があったのかもしれない。それを彼女は明るさで無理矢理に封じ込めているのだろうか。今のところはまだ不明だが、いずれにせよ単なる軽薄なキャラクターではないだろう。朝顔を見守る山口の確かな演技力にも期待だ。

 ドラマの性質上、毎回どうしても事件がクローズアップされてしまいがちだが、本作は目の前の出来事をただ追うだけではなく、登場人物たちの何気ない表情や心情に寄り添いながらじっくりと鑑賞したい。そうすることでより一層、心に沁みるドラマとなるだろう。

■中村裕一
ライター。ドラマについて書いたり言ったりするのが得意といえば得意です。Twitter
@Yuichitter

■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週(月)21:00〜放送
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES/ジャニーズJr.)、坂ノ上茜、喜多乃 愛、宮本茉由、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、板尾創路、柄本明ほか
原作:香川まさひと
漫画:木村直巳
監修:佐藤喜宣『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
法医学監修:上村公一(東京医科歯科大学)
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、澤田鎌作
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao/

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