『集団左遷!!』の魅力は『大脱走』に通づる? 集団としてのポテンシャルを急速に上げる蒲田支店

『集団左遷!!』福山雅治を支える「第3の場所」

 「そんなのおかしい。ふつうはこんな悪事気づくはずだ」と思った皆さん。考えてみてほしい。そもそも蒲田支店は、経営合理化を図る三友銀行本部によって廃店になるシナリオだったのを、片岡たちが無理くり言って、これまでに出したことのないような実績を、片岡隊長以下行員たちの「がんばり」によって叩き出しているのだ。そりゃあ、ずさんにだってなるというもの。そして、会社も人間も落ち目のときに限って、怪しい人たちが寄ってくるものなのである。

 目の前の数字をなんとかしたいと思って、溺れるなんとかを掴んでしまう悲しい性。コメディー、サスペンス、家族の絆、友情、働き方。ひとくちに「経済ドラマ」という枠に収まり切らない『集団左遷!!』を、個性豊かな囚人たちを活写した名作映画『大脱走』(1963年)になぞらえるのは飛躍しすぎだろうか?

 次々と指示を出しながら蒲田支店の転覆を虎視眈々と狙う横山。青筋を立てて正論をまくしたてるかと思えば、高笑いしたのち、突然キレて机を横倒しにする。なにがしたいのかまったくわからないが、それでも目が離せず見てしまう三上博史の怪演ぶりはエスカレートする一方だ。

 第5話では、ひさびさの「とりビー!」な蒲田支店の面々や、眼鏡の似合うクールビューティ・藤枝薫(橋本真実)の面倒くさいエピソードもあった。片岡支店長といえば、逃げた三嶋を探し、高熱をひきずって空港へ。

 廃店から、舞台は海外? という筋書きに戸惑いつつも、ここに来て集団としてのポテンシャルを急速に上げている蒲田支店の面々に逆転の期待もかかる。波乱含みの展開に早くも次週の放送が楽しみだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『集団左遷!!』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:福山雅治、香川照之、神木隆之介、中村アン、井之脇海、高橋和也、迫田孝也、増田修一朗、谷口翔太、橋本真実、市村正親、酒向芳、橋爪淳、津嘉山正種、尾美としのり、三上博史、八木亜希子、西田尚美、赤堀雅秋、パパイヤ鈴木
語り手:貫地谷しほり
三友銀行イメージガール:生田絵梨花(乃木坂46)
原作:江波戸哲夫『新装版銀行支店長』『集団左遷』(講談社文庫)
脚本:いずみ吉紘
プロデュース:飯田和孝、中前勇児
演出:平川雄一朗、田中健太
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/shudan-sasen/

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