『いだてん』綾瀬はるかが中村勘九郎に与えた希望 支え合う夫婦の姿が胸を打つ

『いだてん』四三とスヤの絆が胸を打つ

 スヤの支えにより立ち直った四三は、中盤に「駅伝」を設立。「東海道五十三次駅伝」のアンカーとして走る。「駅伝」を見にきたたくさんの人々の中にスヤの姿もある。四三を名ではなく「金栗ー!」と応援したスヤからは、ランナー・金栗四三への敬意を感じる。四三もまた、スヤの姿を見つけると無言で視線を送る。走る四三の表情は自信に満ち溢れていた。

 目標に向かってまっすぐ突き進む四三を演じる中村の姿は、演じているというより四三そのものだ。四三演じる中村の純粋すぎる表情は、時折子供っぽく見える。スヤに「熊本へ帰るか」と問われたとき、首を横に振った姿やスヤに抱きついて泣きじゃくる姿など。だが、その純粋すぎる表情が、走ることに一生懸命な彼の闘志を強調する。

 綾瀬もまた、四三を支え続けるスヤを真摯に演じている。綾瀬は笑顔にも泣きそうな顔にも見える表情で、スヤの「四三を応援したい」気持ちと「寂しい」気持ちを表現してきた。だが、ハキハキとした綾瀬の話し口から、スヤの意志の強さもしっかりと伝わってくる。

 第17回のタイトルは「いつも2人で」。離れて暮らしていたときから、彼らは「いつも2人で」支え合ってきたのだ。2人の支え合う姿が心に強く残る回だった。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/

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