松坂桃李と山本美月の恋の始まり 『パーフェクトワールド』を優しく包む菅田将暉の歌声も
ついに放送が始まった、松坂桃李主演の火曜ドラマ『パーフェクトワールド』(カンテレ・フジテレビ系)。本作は、女性コミック誌『Kiss』(講談社)に連載中の有賀リエによる同名コミックを原作としたラブストーリーだ。
大学時代に遭った事故をきっかけに、車いすでの生活を余儀なくされた建築士・鮎川樹(松坂)が、高校の同級生・川奈つぐみ(山本美月)と再会し、やがて二人が心を通い合わせていくさまを綴っていく本作。4月16日に放送された記念すべき第一話では、そんな二人の再会から、恋の始まりの予感までが描かれた。
大学生の妹・しおり(岡崎紗絵)と暮らしながら、インテリアデザイン会社で事務として働いているつぐみ。彼女はある日、上司の東美千代(とよた真帆)からの頼まれごとで、設計事務所との打ち合わせの席にやってくる。そこに、つぐみの高校時代の同級生で、彼女の初恋の相手である樹の姿があったのだ。
学生時代からの夢であった建築士として働いている樹の姿が、つぐみには眩しく映る。かつての想い人との偶然の再会に、彼女の胸は高鳴るばかりだ。しかし、そこでつぐみは知るのだ。ある意味において、樹はかつての樹ではないとーー。
樹は大学時代の事故が原因で脊髄を損傷し、歩けなくなった。現在は、車いすなしでは生活できない状態なのである。彼は明るく振る舞うが、つぐみは戸惑いを隠せない。初恋の人との「運命」の再会に、期待と不安とが同時に押し寄せているのだ。
そんなつぐみを演じる山本美月。映画にドラマに活躍が目覚ましく、今年は大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK)でも好演を見せる彼女だが、彼女の“受けの演技”が胸を打つ。
再会した樹が初恋の相手とあって、そのうっとりとした顔つきからは、積年の想いが感じられる。と同時に、高校時代から控えめな性格であったことや、かつての想い人と一緒にいることが信じられず興味が押し隠せないこと、さらには、“あの頃”とは変わってしまった樹を前に、どう振る舞えばいいか逡巡してしまう心模様を、小さな目配せで私たちに伝えてくる。身体が不自由であることを演じる松坂もさすがだが、その受け手である山本がいてこそ成立している関係性であるように思えるのだ。