10連休GWが起こした珍事? コナンとアベンジャーズの「掟破り」コラボの理由

コナンとアベンジャーズのコラボの理由

 先週末の映画動員トップ10は、年に数回ある前週からほとんど動きのないランキングとなった。公開初週からこれで6週連続の1位となった『映画ドラえもん のび太の月面探査記』から、公開3週目の5位の『バンブルビー』まで、トップ5はまったく変動なし。トップ10に初登場となった作品は、10位の『バイス』のみ。今年のアカデミー賞作品賞ノミネート作品としては最も遅い日本公開となった同作だが、公開日からの3日間で動員4万4123人、興収5673万5900円という地味なスタート(そもそもスクリーン数が2ケタなので仕方ないが)。というわけで、先週末の動員ランキングについては特に目新しいトピックはない。

 結果的に2019年の春休み興行は『ドラえもん』(4月7日までの38日間累計で興収45億円突破)と『翔んで埼玉』(4月7日までの45日間累計で興収31億円突破)の2強に。そこに食い込むと期待された『ダンボ』は不発に終わり、代わりに『キャプテン・マーベル』が4月7日までの24日間累計で興収17億円突破と、累計興収20億円の大台超えを狙える奮闘を見せている。ちなみにマーベル・シネマティック・ユニバースの単独ヒーロー作品(事実上ヒーロー大集合作品であった『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を除く)で20億円を超えた作品は2013年の『アイアンマン3』(累計25.7億円)と2017年の『スパイダーマン:ホームカミング』(累計28億円)の2作品のみ。いよいよ4月26日に世界同時公開が迫ったシリーズ大団円『アベンジャーズ/エンドゲーム』に向けての弾みがついたかたちだ。

 今週話題となっているのは、その『アベンジャーズ/エンドゲーム』と4月12日公開『名探偵コナン 紺青の拳』のコラボレーションによるプロモーションが開始されたこと。言うまでもなく前者はディズニー配給作品、後者は東宝配給作品。公開日が2週間ずれているとはいえ、ゴールデンウィーク興行では日本全国のシネコンでのスクリーン数やキャパの確保をめぐって熾烈な争いをすることになる、ガチガチのライバル関係にある作品。そんな作品同士がプロモーションのポスターや動画でコラボレートするというのは前代未聞のことだ。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」&「名探偵コナン 紺青の拳」“掟破り”のタッグムービー

 ちょうど1年前の同時期に公開されたそれぞれ前作の興行成績は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が37.4億円、『名探偵コナン ゼロの執行人』が91.8億円。ダブルスコアをはるかに超えて『コナン』の圧勝。ちなみに、主要マーケットとなる国で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が年間ではもちろんのこと週間でも動員ランキングの1位にならなかった国は世界中で日本だけ。それを阻んだのは他でもない、昨年同時期に7週連続1位を記録した『名探偵コナン ゼロの執行人』であり、そのことを踏まえても、今回のプロモーションが「掟破り」と銘打たれた意味がわかるだろう。

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