『まんぷく』内田有紀が“みんなの親”に 物語を支え続けた包容力

 また、亡くなった咲との交流は、まるで本人が本当に生きているかのような描かれ方をすることが多い。例えば第120話でのこと。いつものように、福子の夢に咲が現れるのだが、なんと咲は「まんぷくラーメン」をすすっている。本人曰く、1日に3食「まんぷくラーメン」を“食べる”という(ちなみに、生卵を入れて食べるという歴史的アイデアを福子はここで知る)。でも、咲だったらきっとそんなことを言って「まんぷくラーメン」を褒めてくれるだろうと思わせる台詞でもある。

 “咲だったら、何と言うだろうか?”。きっと、福子も鈴もそう思う場面が何度もあったことだろう。場合によっては、実の母親である鈴以上に親らしい包容力を見せる咲の存在は、今日の放送までずっと『まんぷく』の世界を優しく包み込んできた。亡くなる直前、ベッドの上で「ありがとう」と呟いてこの世を去った咲。みんなの父親代わりになって一家を支えてきた彼女であるが、父親と母親の両方の性格を併せ持った、“みんなの親”として登場し続けて、支えてきた咲にこそ「ありがとう」を言ってしかるべきだろう。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、松下奈緒、要潤、大谷亮平、桐谷健太、瀬戸康史、岸井ゆきの、松井玲奈、深川麻衣、中尾明慶、毎熊克哉、加藤雅也、牧瀬里穂、西村元貴、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

関連記事