岸井ゆきの×深川麻衣の刺激的な共演 『まんぷく』『愛がなんだ』で鮮やかな対比を見せる

『まんぷく』岸井ゆきの×深川麻衣の刺激的な共演

 原作は角田光代の同名小説。主人公で28歳の会社員テルコを岸井ゆきのが演じ、その親友の葉子を深川麻衣が演じている。片思いで自分が都合のいい女だと気づいているのに、ずるいダメ男のマモちゃん(成田凌)のそばにいたいためにすべての時間を捧げてしまうテルコ。そのテルコとは逆に、ナカハラくん(若葉竜也)に片思いされ、尽くされているが彼を振り回す葉子。

 深川麻衣は、今泉力哉監督作品『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初出演にして初主演を務めている。自分を客観的に捉えるような、独自の結婚観を持つ主人公が中学時代の初恋の相手と再会し、揺れ動くのだが、そのマイペースでクールな視点を持つ役柄というのが最新作の『愛がなんだ』にも通じるものがある。

『愛がなんだ』(c)2019 映画「愛がなんだ」製作委員会

 友だちの助言も聞き流し、彼に呼ばれれば電話1本で(あくまでも必死ではなく、というさりげなさを装い)駆けつけ、平日デートに誘われようものなら、躊躇なく会社をさぼってクビ寸前になってしまうテルコだが、困ったときに行くのは葉子の家で、彼女の前では本当の自分も見せる。

 愛に生きる女性を演じる岸井ゆきのと、そんな愛を客観的に見つめ、自分の生き方を模索している女性を演じる深川麻衣の共演は今、とても刺激的だ。共感するだけでなく、彼女たちの表現から自分が探す愛のかたちに気づく女性も多いのではないだろうか。

■池沢奈々見
恋愛ライター、コラムニスト。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、松下奈緒、要潤、大谷亮平、桐谷健太、瀬戸康史、岸井ゆきの、松井玲奈、深川麻衣、加藤雅也、牧瀬里穂、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

■公開情報
『愛がなんだ』
4月19日(金)、テアトル新宿ほか全国ロードショー
原作:角田光代『愛がなんだ』(角川文庫刊)
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ
配給:エレファントハウス
(c)2019 映画「愛がなんだ」製作委員会
公式サイト:http://aigananda.com/

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