宮野真守はギャップで魅了するエンターテイナー オールマイティな活動に通ずる“覚悟とプライド”

雅マモルで『紅白』に。ギャップで魅了するエンターテイナー

 アーティストという側面も、魅力の重要な一端だ。身長180センチという抜群のスタイルと端正なルックス、そして低音で柔らかさのあるイケボといった、三拍子揃った宮野のライブは、男性アイドルグループさながらの人気だ。ダンスではだけたシャツの裾からチラ見えする鍛え抜かれた肉体、白い歯を輝かせるはにかんだ笑顔。ステージ上は宮野の魅力の宝庫で、多くの女性ファンが押し寄せ目をハートにしてうっとりするのは当然のことだろう。

宮野真守「ぼくはヒーロー」

 またライブの幕間に流されるコント映像では、着ぐるみを着て原始人になったり、昭和のお茶の間を舞台に、青っ鼻をたらした悪ガキの扮装をするなど徹底した三枚目ぶりだ。昨年末に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』の企画コーナー「おげんさんといっしょ」に、頭にバンダナを巻いた昭和のアイドル風キャラクター、雅マモルとして出演したことも記憶に新しい。あの『紅白』で宮野のユニークな一面に初めて触れた人も多かったと思うが、雅マモルは、実は宮野のライブには以前から登場していたお馴染みのキャラクターでもあった。格好よさとユーモアセンスのギャップをおしげもなくさらけだす、エンターテイメント性もまた彼の魅力だろう。

 アニメ声優、洋画の吹き替え、アーティスト活動など、実に多彩な表情を持つ宮野だが、それらすべてにおいて「そこまでやるの?」と思うほどの徹底ぶりにはいつも驚かされる。どんな役であろうと、かっこよさも面白さも徹底的だ。そこから一貫して感じるのは、演じる者としての“覚悟とプライド”。アニメ声優の枠を越え、洋画の吹き替えの世界からも寄せられる厚い信頼の根源がそこにある。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

■公開情報
『スパイダーマン:スパイダーバース』
3月8日(金)全国ロードショー
製作:アヴィ・アラド、エイミー・パスカル、フィル・ロード&クリストファー・ミラー、クリスティーナ・スタインバーグ
監督:ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
脚本:フィル・ロード、ロドニー・ロスマン
日本語吹き替えキャスト:小野賢章(マイルス・モラレス/スパイダーマン)、宮野真守(ピーター・パーカー/スパイダーマン)、悠木碧(グウェン・ステイシー/スパイダーグウェン)、大塚明夫(スパイダーマン・ノワール)、吉野裕行(スパイダー・ハム)、高橋李依(ペニー・ パーカー)、玄田哲章(キングピン)
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:spider-verse.jp

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