世界の情勢を変化させようという重要なテーマも 『アクアマン』成功の秘密を分析

 マーベル・スタジオの作品を統括し、タクトを振るうのは、ケヴィン・ファイギ製作社長だ。彼は多くの大作をコントロールし、さらに長大な物語を作り上げるという、映画史にも類を見ない大事業を展開している。しかしそれは、それぞれの作品の映画監督の立場からすると、創造性を部分的に奪われているのではないかという疑問もつきまとう。だから個性の強いワン監督は、マーベル・スタジオの気風には合わないのではという気がするのである。

 プロデュースが甘く、映画監督の個人的な作家性に頼るしかなかったのが弱味だったDC映画が、ここにきて同じ理由によって強味を発揮しだしている。『アクアマン』は、そういう意味でも、独自の可能性を示した救世主になるのかもしれない。ここで違いが際立ち始め、映画業界において真のライバルとなりつつあるDCとマーベル。これでヒーロー映画がよりエキサイティングになってきた。

■小野寺系(k.onodera)
映画評論家。映画仙人を目指し、作品に合わせ様々な角度から深く映画を語る。やくざ映画上映館にひとり置き去りにされた幼少時代を持つ。Twitter映画批評サイト

■公開情報
『アクアマン』
全国公開中
監督:ジェームズ・ワン
出演:ジェイソン・モモア、アンバー・ハード、ニコール・キッドマンほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved” “TM & (c)DC Comics”
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/

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