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“疑う”木村拓哉と“信じる”長澤まさみ 『マスカレード・ホテル』観る者惑わすキャストの怪しい魅力

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 本作の舞台となるコルテシアはそんな個性の強い面々をどっしりと支える魅力に溢れたホテルである。エントランスから入り、目の前に広がる左右対称のつくりのフロントロビー。そして事あるごとに映し出される外観と光るエンブレム。夜のコルテシアの外観では、ライトのついたエンブレムがドクロのように怪しげな魅力を放つ。狙ったか狙っていないかは定かではないが、ライトの影のせいでエンブレムが禍々しい雰囲気になるのだ。しかしその外観のシーンは一転、必ず朝の外観へと変化してから次のシーンに移る。ライトが消え、元のコルテシアのエンブレムに戻るのだ。コルテシアの二面性を表すかのような演出に思わず事件への恐怖が煽られる。

 さらに、客室に配置されたコルテシアのエンブレムの入ったペーパーウェイトにも注目したい。ただのホテル備品のようでありつつ、実はコルテシアの精神を表す大きな役割を果たしている。このペーパーウェイトがまっすぐに配置されているときは、ホテル・コルテシアは今日も問題なく営業しているというサインになっている。従業員はコルテシアの秩序を保つようにこのペーパーウェイトの配置を直す。事件が起こるラストシーンではこのペーパーウェイトは曲がったままなのだ。そしてそのまま殺人未遂の現場となってしまった客室のペーパーウェイトは直されないまま物語が進む。新田がペーパーウェイトの位置を直さなかったことが、ホテル・コルテシアのホテルマンではなく刑事に戻った瞬間を表していた。

 ひとつのホテルを舞台に様々なケースが入り乱れ、事件の真相が目くらましされる本作。一筋縄ではいかない展開に、時間を忘れ夢中になってしまう。そんなホテル・コルテシアの日常を、のぞいてみてはいかがだろうか。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■公開情報
『マスカレード・ホテル』
全国東宝系にて公開中
出演:木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、菜々緒、生瀬勝久、松たか子、石橋凌、渡部篤郎他
原作:東野圭吾『マスカレード・ホテル』(集英社文庫刊) 
脚本:岡田道尚
音楽:佐藤直紀
監督:鈴木雅之
配給:東宝
(c)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (c)東野圭吾/集英社
公式サイト:http://masquerade-hotel.jp/index.html

      

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