劇場版『ヒロアカ』4DXは“個性”の再現が秀逸! 見せ場はデク&オールマイトの共闘シーン

『ヒロアカ』4DXは“個性”の再現が秀逸!

 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』が、1月11日より4DX版として再び劇場に帰ってくる。

 『週刊少年ジャンプ』で連載中の堀越耕平による漫画『僕のヒーローアカデミア』の劇場版第1作である本作。興行収入は16億円、観客動員数は129万6000人を超え、作品に多大なる影響を与えているアメコミの本場・北米でも大ヒットを記録している。本作の制作が発表されたのは、2017年12月11日。その約半年後、2018年8月3日に全国公開となり、今回4DX化。2月13日にはBlu-ray&DVDとしてソフト化も予定されており、劇場版の熱はまだまだ冷めることはなさそうだ。

 「あのクライマックスの迫力が更にプルスウルトラしてるかも!」と堀越も期待のコメントを寄せた4DX。上映に先駆け、一足先に4DX初体験の筆者も鑑賞させてもらった。鑑賞を終え、第一に感じたのは「ヒロアカは、4DXの特性と十二分にマッチした作品」ということだ。ヒロアカの登場キャラクターは、“個性”と呼ばれる超常能力を一人ひとりが持つ。『ONE PIECE』の悪魔の実や『HUNTER×HUNTER』の念能力、『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドなど、『週刊少年ジャンプ』には新旧問わず、自身の能力を武器に戦う作品が多い。ヒロアカもまた、その系統に当てはまる作品だが、これほどまでに4DXの環境効果を引き出すことができるのかと心底驚いた。例えば、轟焦凍の持つ個性「半冷半燃」は、右から氷結、左から炎熱を繰り出すが、これは前座席から放射される水しぶき、座席シートから噴出される熱風で再現される。爆豪勝己の個性「爆破」もまた首元からの熱風による効果だが、スクリーンからは煙が立ち込める。上鳴電気の個性「帯電」では、キャラクターの体からの放電とシンクロし、劇場上に配置されたストロボが閃光を放つ。「炎、水、雷」といった自然現象は、多くの作品で扱われるが、ヒロアカで言えば1年A組に当たる、主要キャラクターが能力に持つケースは案外少ない。

 4DXは、環境効果に加え、座席効果により更なる映画体験を生み出す。左右、前後、上下の3種類の動きは、それぞれのシーンに同調し作品世界により没入していくことができる。作品途中には宇宙に漂うシーンがあるが、ゆっくりと動くシートにより、浮遊する感覚を味わうことができた。さらに、座席の振動は、細かなレベルが設定されており、例えばポケットに入れているiPhoneが、ショートメールを受け取ったのか、アプリのプッシュ通知を受信したのかが分かるように、振動の強弱、長さによって様々なシチュエーションが再現されている。峰田実のくっついたら離れないボールを投げる「もぎもぎ」の動き、切島鋭児郎の「硬化」した全身でのガチガチの動きは、モーションチェアと後頭部へのエアショットにより演出されるが、中でも印象的だったのが飯田天哉が驚異的なスピードで走る「エンジン」。真面目過ぎるが故に、どこかシュールな飯田は、劇場版においてもスクリーンを縦横無尽に走り抜ける。その疾走する「ドッ! ドッ! ドッ!」という振動は、モーションチェアによってより臨場感を生み、それが何度も繰り返されるため、シュールさも増幅していく。思わず、筆者も笑いを堪えきれずにいた。

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