BiSHモモコグミカンパニー×渡辺淳之介が語る、エンターテインメントの世界で生きていくこと

モモコグミカンパニー×渡辺淳之介対談

“全員ブートキャンプ”の1週間

――壱岐島に女の子を閉じこめるし、渡辺さんはやっぱりサディスティックなのかと思いますよね。

渡辺:でも、逆に考えてくださいよ。延々と批判が集まるなかで24時間ずっと怒鳴り続けてるって、苦痛じゃないですか(笑)。だからドMだと思うんですよ。合宿に行く前は憂鬱ですね。やっぱり一週間ずっと気を張ってるし、睡眠時間も全然ないんです。女の子たちが泣きながら相談してくることもありますし。

――渡辺さんたちも明らかにしんどいのに、そこまでしてオーディションをするのはなぜでしょうか?

渡辺:詭弁みたいなもんなんですけど、あの子たちぐらいの年代のとき、自分がどうしたらいいかわかんなかったんです。大人を舐めきってたし、斜めに見てたし。自分が正面からぶつかっていったら、応えてくれる大人がいるってわからなかったんです。「この子たちぐらいはわかってもらいたいな」っていう部分あって。モモコともぶつかって、前よりちょっと話しやすいなって思ってるんです。オーディション自体が自分自身のブートキャンプでもあるんですよね。

――全員ブートキャンプ(笑)。

渡辺:そうそう。「言い訳ばっかしてんじゃなくてやればいいじゃないか」って、女の子に言いながら自分にも言ってるんですよ。

モモコ:私から見たら、渡辺さんがのびのび……してるって言ったらダメなんですけど(笑)、壱岐だから日常とはちょっと違うし、オーディションがすべての世界になるわけじゃないですか。そこで選ぶのは渡辺さんで、渡辺さんの国になるんですよ(笑)。

渡辺:独裁国家だよね。

モモコ:でも、ふだんよりめっちゃ怖いとかはあんまり思わなかったです。BiSHを結成したての4人の頃は、けっこうBiSHと渡辺さんがずっと一緒にいて、バチバチしてたときもあって、その頃の感覚にちょっと似てましたね。距離がいつもよりも渡辺さんと近かったなって。

――オーディションに来た若い子たちについてはどう感じましたか?

渡辺:今まで接してきた子たちより圧倒的に若いんですよね。今までで一番言うこと聞かない奴らが揃いましたね。やっぱり勘違いしてる子たちも多かったし。

モモコ:いやー、どんどんWACKってメジャーになってきてるんだなってすごく感じました。本当に何のアクもない普通の可愛い女の子がたくさんいたので、すごくびっくりしましたね。普通のアイドルオーディションにも行ってそうな子たちから落ちていった感じです。

――撮影しているカメラマンには、AVを撮ってきた人もいるじゃないですか。そのカメラマンの前でどんどん女の子たちが自分語りをするし、もしAVだったらもう挿入されてるよと思うぐらいでした。

渡辺:逆に言うと、映りたい子たちだと思うんでやりやすかったですよね。ただ、カメラを向けたらしゃべってくれる状況にはなるんで、ギアが上がりきらなかった。どこまでやっていいのか、どこまで聞いていいのか、曖昧な感じになってる気がしましたね。カメラマンの人たちも、あまり個々人には興味がわかなかったので、今まで撮ってきたオーディション映画よりも非常に客観的な内容で、そういう意味では冷たくなってる気はします。

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