年末企画:久保田和馬の「2018年 年間ベスト女優TOP10」 贅沢な女優アンサンブルが確立

 同じタイプとして括っていいものかは悩むところではあるが、受け手側の想像を超える突拍子もない行動を繰り出す“危なっかしさ”という点においては、半年間にわたって「楡野鈴愛」として生きた永野芽郁も負けてはいない。もちろん『ういらぶ。』の桜井日奈子や、『スマホを落としただけなのに』で鬼気迫る表情を炸裂させた北川景子や、昨年の『君の膵臓をたべたい』から一気に頭のネジが抜けたかのようなハジけた演技を披露した『センセイ君主』の浜辺美波(もちろん『賭ケグルイ』も含む)も忘れてはならない。あらゆる方面からハラハラさせてくれる女優たちの存在によって、今年の映画・ドラマの楽しさが増していたのだ。

『アンナチュラル』(c)TBS

 そして、ここまで挙げた面々とはまったく違うベクトルで、作品の出来栄えとキャラクターの放つ空気感の両面において『アンナチュラル』の石原さとみがひたすら輝いていた。女優デビューから15年、キャリア最高の演技で確固たる代表作を得たと考えて間違いないだろう。また『SUITS/スーツ』の新木優子も、大女優と勢いのある新星の間に挟まれながらパラリーガルのヒロイン格を好演。次期月9でもヒロインを演じるだけに、来年さらに爆発的なブレイクを迎えることは間違いないだろう。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■公開情報
『寝ても覚めても』
テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほかにて公開中
出演:東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知(黒猫チェルシー)、仲本工事、田中美佐子
監督:濱口竜介
原作:『寝ても覚めても』柴崎友香(河出書房新社刊)
脚本:田中幸子、濱口竜介
音楽:tofubeats
製作:『寝ても覚めても』製作委員会/COMME DES CINEMAS
製作幹事:メ〜テレ、ビターズ・エンド
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス
2018/119 分/カラー/日本=フランス/5.1ch/ヨーロピアンビスタ
(c)2018 映画『寝ても覚めても』製作委員会/COMME DES CINEMAS
公式サイト:www.netemosametemo.jp

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