『SUITS/スーツ』インタビュー

織田裕二、“男性主役ドラマ”の礎を築いた過去を語る「絶対に勝たなきゃいけないと思った」

 織田裕二が10年ぶりにフジテレビの月9ドラマで主演を務める『SUITS/スーツ』が、10月8日よりスタートする。本作は、2011年6月に全米で放送開始され、初回視聴者数460万人超を記録したドラマ『SUITS/スーツ』のシーズン1を原作とした弁護士ドラマ。織田は、原作でガブリエル・マクトが演じたハーヴィー・スペクターをモデルとした、“敏腕ながら傲慢なエリート弁護士”の甲斐正午という役どころを演じる。これまでの自身の月9を中心としたドラマ出演への歩みと、本作に懸ける思いを聞いた。

「“家族”というキーワード」


ーー原作のアメリカ版『SUITS/スーツ』はどんな印象でしたか?

織田裕二(以下、織田):まずシーズン6まで観させていただきました。正直言うと、最初はあまりハマらなかったんです。でも、5話ぐらいまで観て、初めて共感して主人公が素敵に見えた。それまで、ハーヴィーはニヤけた人だなと思ってあまり好きじゃなかったんです。その共感した回というのは、ハーヴィーの運転手が事故を起こしてしまって、ハーヴィーが彼の弁護を無償でするという話でした。演出も、最後の何秒間だけスローがかって印象的で。とにかくその回がすごくツボで、そこで一気にスイッチが入りました。

ーーストーリーについてはいかがですか?

織田:シーズン2では、“家族”というキーワードがあって、「あ、これは家族のあり方を弁護士事務所に置き換えたんだ」と思ったんです。それで改めてシーズン1から見直した時に、ハーヴィーはワイルドでセクシーな面もあるのですが、意外と新人のマイク・ロス(日本版の鈴木大貴/大輔)に対して、要点ではちゃんとハーヴィー流で仕事を教えてるんですよね。マイクは記憶能力においては誰も敵わない逸材ですが、フリーターだから、ビジネスシーンにおける基本的なマナーを何も知らない。ボタンダウンでゆるゆるでネクタイして、(『踊る大捜査線』の)青島みたいな格好してたら、うちの弁護士として合わないよねと。うちは大手ファームで、しかも企業の大金が動く世界だから、そんな格好だとまずクライアントに相手にしてもらえない。ハーヴィーがマイクを連れてクライアントに会いに行っても、ハーヴィーと握手した後にマイクを一瞥して無視して行っちゃうシーンもありました。だからこそ、ナメられないようスーツを手に入れるとか。説教くさくなく、さりげなくハーヴィーの教えが入っていると思います。

ーーバディであるマイク、そして大貴が成長していく物語でもあると。

織田:彼が成長する一方で、そのあとは逆に僕が彼の能力に助けられたりとか。2人の中の秘密で、他のファームの仲間も知らないのですが、マイクには弁護士資格がないんです。資格があるからって優秀なわけではないけど、法律の世界では資格がないこと自体がダメなんですよ。そのドキドキがありますね。正午と大貴は、最初は互いに自分の利益のために相入れたコンビなんですけど、その2人が徐々に認め合っていく。僕の中で、このドラマは弁護士ものではないんですよね。弁護士という職業ではあるけど、あくまでファームの中の話で、人間関係が面白い。『踊る大捜査線』もそうでしたけど、こんな事件が起きました、犯人は誰々で、という部分に重きを置いてるわけじゃなく、そこから発せられるメッセージが大切だったりする。

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