永野芽郁と佐藤健が見つけた幸せの形 『半分、青い。』第1話から最終話まで描かれた“青空”を読む

 そして鈴愛と律の関係性にも、ついに決着がつく。「私、律の前ではずっと変わらないでいられるんだ」(鈴愛)、「俺の生まれた意味はそれなんで。あいつを守るためなんで」(律)。それぞれ親友の正人(中村倫也)の前では素直になれるのだが、一歩踏み出せなかった。鈴愛が裕子の死を受け止め、マザーが完成した2011年7月7日。2人の41歳の誕生日でもあるこの日に、鈴愛は短冊に「リツのそばにいられますように」と書いた。過去に、鈴愛が書いた短冊は「リツがロボットを発明しますように!!」であり、その思いは“マグマ大使の笛”のように、律の支えになっていた。けれど、もうマグマ大使の笛はいらない。律の願い事は、「鈴愛を幸せにできますように」。人の気持ちに受け身の律が、一歩踏み出した瞬間だ。

 鈴愛の「律は幸せの天才だ」というセリフは、律を肯定する言葉の1つにあった。律が誕生日プレゼントとして鈴愛に渡す「雨の音がきれいに聞こえる傘」は、左耳が聞こえない鈴愛が幼い頃に、律に冗談半分で言った約束でもあり、第1話冒頭の律が鈴愛に傘を渡すシーンともリンクしている。「左側に降る雨の音は聞こえなくて、右側だけ雨が降ってるみたい」と“左側の世界”を生きる鈴愛に、律は“雨のメロディ”という知らない幸せをくれる。鈴愛と律が見つけた、1つの幸せの形だ。

 『半分、青い。』には、青空が印象的に描かれていた。第1話の冒頭、雨上がりに鈴愛が見上げる虹のかかった青空、「東京・胸騒ぎ編」ラストに鈴愛とボクテとユーコが引越しのトラックに乗り見上げる青空、「人生・怒涛編」ラストで涼次に別れを告げ鈴愛が見上げる“空の青の青さ”、震災が起こる直前、青いきれいな蝶々が空に飛び立つシーン、最後に律の作った傘の下、鈴愛、晴(松雪泰子)、花野(山崎莉里那)が天気雨で雨のメロディを聴く中での一面の青空、そして、星野源「アイデア」のイントロとともに映し出されるタイトルバックにも青空がいつもあった。絶望と希望は表裏一体だ。それでも昨日を越えて、明日を生きていかなければならない。『半分、青い。』は、どんなときでも私たちの空には“青空”があること、そして希望を持って生きていくことができることを伝えてくれた。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一、上村海成/佐藤健、原田知世、谷原章介/矢本悠馬、奈緒/清野菜名、志尊淳
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

関連記事