芳根京子と土屋太鳳の魂がぶつかり合う 2人の重なるキャリアと『累-かさね-』での“対等さ”を考察

芳根京子と土屋太鳳『累』でのぶつかり合い

 土屋は2017年の『PとJK』から今作にいたるまで、すべての出演映画にて主演。ティーン向け映画への出演が多いということもあるが、“若手女優”と聞いて真っ先に土屋を思い浮かべる方も多いはずである。だがそれだけでなく、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』ではベテラン俳優陣に囲まれながら難病に立ち向かう女性を見事に演じきり、今年の頭には森山未來が主演を務める舞台『プルートゥ PLUTO』の再演で舞台に立ち、そのポテンシャルの高さをリアルタイムで観客に証明した。

 対する芳根は、昨年公開されたアニメの実写化作品『心が叫びたがってるんだ。』や、外山文治という気鋭の監督による短編作品『わさび』など、多角的に活躍。さらにその前年には『64-ロクヨン-』といった日本映画界のオールスター戦に名を連ね、間もなく封切られる『散り椿』でも老若男女の実力者たちが結集した中、メインキャストとしては最年少の彼女が参戦を果たしている。ティーン層の注目を集めつつ、ターゲットの拡大を徐々に試みているように思える土屋とは異なり、あらかじめターゲットを大きめに想定している印象だ。

 そんな2人はアプローチは違えどキャリアを眺めてみれば、どことなく重なる部分があるように思える。土屋は、先日最終回を迎えた『チア☆ダン』(TBS系)で主人公を演じ、その溌剌とした姿で同世代の多くの女優たちを率いているが、芳根も前々クールの『海月姫』(フジテレビ系)にて主演を務め、クセの強いキャラクターたちを演じる年齢も様々な女優陣を率いてみせた。この両者に共通する、朝ドラ主演経験や、若手俳優が集結する作品での主演経験、また、先輩たちが揃った作品においての重要なポジショニングなど、現在の日本映画界での2人の立ち位置の近さを読み解くのは間違いではないだろう。最前線に立つ2人の『累-かさね-』での対等なぶつかり合いの背景にはこういった経緯があるのだ。ぜひとも手に手を取り合い、これからも切磋琢磨して日本映画界を導いていってほしい。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『累‐かさね‐』
全国東宝系にて公開中
原作:『累-かさね-』(講談社『イブニング』連載中)
監督:佐藤祐市
出演:土屋太鳳、芳根京子、横山裕、筒井真理子、生田智子、村井國夫、檀れい、浅野忠信
脚本:黒岩勉
製作:フジテレビジョン
配給:東宝
製作プロダクション:共同テレビジョン
(c)2018映画「累」製作委員会 (c)松浦だるま/講談社
公式サイト:kasane-movie.jp

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