吉高由里子×安田顕コンビが輝いた最終話 『正義のセ』が示した“人を思いやる心”
中条は子供の人生に傷を残したくないという理由から、そのためならなんでもするのが親だと主張する。これに相原は「親の愛情にはいろいろな形があっていいと私は思います。しかし、その愛情のかけ方が間違っていることもある。そう気付いたとき、親がそれを認め、立ち止まること。それが大事なんじゃないでしょうか」と同じ父親として中条を諭す。凜々子は第9話で、か弱い女性が痴漢の被害者として苦しんでいることに、相原は第7話で1人の娘を持つ父親として、事件に正義を持って立ち向かってきた。言うなれば、今回はその2つの要素が合わさった事件であり、凜々子と相原のバディが輝く物語であった。
「検事ってなんだと思いますか?」、ラストに相原は凜々子にそう問いかける。検事とは、人間。被疑者同様に、検事も完璧ではない。人の人生を、時に生命を裁かないといけない大変な仕事だ。人間的な感情をたっぷり持っていないと検事は務まらない。それが、相原の出したひとつの答え。全10話を振り返れば、凜々子の無邪気に笑った顔と、握り拳とともに見せた怒りと、被害者のために流した涙と、彼女の様々な表情が思い出される。人を思いやること。それが、凜々子や相原が持つ、“正義”への第一歩なのかもしれない。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter
■放送情報
『正義のセ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~
出演:吉高由里子、安田顕、三浦翔平、広瀬アリス、平埜生成、夙川アトム、大野拓朗、塚地武雅、宮崎美子、寺脇康文、生瀬勝久
脚本:松田裕子、松本美弥子、梅田みか
原作:阿川佐和子「正義のセ」シリーズ(角川文庫)
音楽:得田真裕
演出:南雲聖一、明石広人、岩崎マリエ
制作協力:AXON
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/seigi-no-se/