中村アン、30年間彼氏がいないヒロインを好演! 遅い時間にゆるく楽しめる『ラブリラン』の魅力
「いつでもさやかの味方だから」と言ってくれた永遠のお兄ちゃんの亮介。言葉はきついが誰よりさやかをよく見てくれ、背中を押し続けてくれる年下男・町田。さやかの愚痴や悩みを受け止めてくれる元ルームメイトの友美(佐津川愛美)。そして、出会いは最悪だったのにいつの間にか親友になった美容師の隼人(市川知宏)。
なかでも隼人は他の3人と少し立場が違う。ゲイであることを友人の町田にもカミングアウトしておらず、しかもずっと町田が好き。さやかと事情は違うが隼人も片想いを拗らせていて、始めは町田の元カノのさやかを貶めようとしていたのに、いまやさやかを放っておけないようでもある。『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリーにスタンフォードがいたように、さやかには隼人がいる(しかもデート前には髪をセットしてくれるという特典付き!)。恋と仕事に奮闘する都会のアラサー女のさやかにとって、ゲイの親友は楽しくも頼もしい存在に違いない。
少しずつさやかの記憶は戻ってきているが、なぜ記憶を失ったのか現時点では明らかにされていない。また、町田はさやかの記憶が戻ったら部屋を出て行ってもらうと言っているが、それはなかなか手の内を見せない町田の本心なのかわからない。かつて町田が付き合っていたモデルの杏子(大政絢)がさらなる波乱を巻き起こしていくだろうが、今後コミックとどこまで併走していくのかも見えず、中盤に差し掛かっているがまだ謎な部分が多い。と言うとまるでミステリーのようだが、記憶障害のヒロインなのに絶望的な深刻さは全くなく、ハッピーな空気で満ちている。1日を終えてリラックスする時間帯にちょうどよいゆるさが何とも心地よい。
■古閑万希子
ライター。映画評や映画ノベライズを手掛ける。
■放送情報
プラチナイト 木曜ドラマF 『ラブリラン』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週木曜23:59~0:54放送
※第5話は5月3日(木)深夜0:09〜1:04放送
出演:中村アン、古川雄輝、佐津川愛美、小松利昌、市川知宏、渡部秀、片瀬那奈(特別出演)、村杉蝉之介、ふせえり、大政絢、大谷亮平
原作:天沢アキ『ラブリラン』(講談社『Kiss』所載)
脚本:永田優子
音楽:未知留
監督:汐口武史
チーフプロデューサー:前西和成(読売テレビ)
プロデューサー:中間利彦(読売テレビ)、河原瑶(テレパック)、金澤友也(テレパック)
制作協力:テレパック
制作著作:読売テレビ
(c)NTV
公式サイト:http://www.ytv.co.jp/lovererun/