高畑淳子の熱演光る 『となかぞ』視聴者を引き込む“ラスト10分間”の凄み
また、今回もう1つ印象的だったのが、奈々と杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)、青木朔(北村匠海)の3人が共有スペースでそれぞれの“結婚感”についてコミカルに語るシーン。ちひろは「カップルは安心したら終わり」だという考えがあるからこそ事実婚を選んだことを打ち明け、一方ゲイカップルの朔は、「婚姻届みたいな拘束力があるものが欲しい」と語った。奈々は結婚すれば安心感が生まれるというと、「カップルなんて安心したら終わり」だとちひろから指摘され、最近キスが減ったことを自覚する。
実際現実においても、入籍しているが家は別々という“通い婚”、熟年夫婦が籍は置いたまま別居する“卒婚”など結婚感が多様化しているため、既存の概念に左右されないちひろと朔の主張を認め、否定しない奈々の姿は模範的対応だったと感じた。
移りゆく時代の中で、人々の価値観というのは常に変化してゆき、数十年前間違いと扱われていたものが、いつの日か正解になることもある。自分の中に核を持ちつつ、他者の意見を跳ね除けない『隣の家族は青く見える』が描く人間の姿はまさに理想的で、現実はこう上手く回らないことは承知だが、心の何処かに留めておきたい要素が詰められていた。
(文=阿部桜子)
■放送情報
木曜劇場『隣の家族は青く見える』
フジテレビ系にて毎週木曜22:00から放送
出演:深田恭子、松山ケンイチ、平山浩行、高橋メアリージュン、北村匠海、眞島秀和、真飛聖、野間口徹、伊藤かずえ、高畑淳子、橋本マナミほか
脚本:中谷まゆみ
プロデュース:中野利幸
演出:品田俊介、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/tonari_no_kazoku/