『越路吹雪物語』少女期役・岩淵心咲の見事な演技 “シャンソンの女王”の原点が描かれた第1週

 “シャンソンの女王”と呼ばれた越路吹雪とその盟友・岩谷時子との友情、波乱を描いた帯ドラマ劇場『越路吹雪物語』が、1月8日よりスタートした。

 越路吹雪は、宝塚歌劇団男役スターを経て、シャンソン歌手として活躍した戦後の大スター。青年期を演じるのは瀧本美織、歌手としての絶頂期を演じるのは元宝塚歌劇団のトップスター・大地真央、そしてナレーションを務めるのは同じく元宝塚歌劇団のトップスターである真矢ミキという錚々たる顔ぶれだ。

 第1週では、第1話の冒頭で大地が演じるシャンソン歌手期、第5話のラストでは瀧本が演じる高等女学生期の彼女が登場する。が、今週メインとなったのは、1932年(昭和7年)、まだ本名の河野美保子(岩淵心咲)として生きる少女期。すでにこの頃から、後に越路吹雪として大スターになる片鱗を伺い知ることができる。

 幼い頃から彼女には常に歌があった。廊下に立たされている時も、登校中も、家にいる時も。歌うことが大好きな美保子は、自他共に認める歌唱力の持ち主。歌うことに夢中で足を怪我することもあった。父・友孝(尾美としのり)の転勤が決まり、ともに新潟で暮らすことになった美保子は、ある日吹雪の中、行方不明になってしまう。この事件が後に芸名「越路吹雪」となる由来になるのだがーー。その時も、美保子は朦朧とした意識の中で歌い、その歌声を頼りにして父に発見された。この頃からすでに彼女と歌は、切っても切り離せない関係にあったのだ。

 加えて、美保子は慌てん坊で、周囲をハラハラさせる女の子。言い換えれば、ただただ自分らしく生きるまっすぐさを持っていた。相手を思いやることができる純粋な性格の持ち主でもあった。足を怪我した時も、病弱な姉・真佐子(渡邉このみ)とその世話に追われる母・益代(濱田マリ)を察して、怪我をしたことを言い出せずにいた。吹雪の中、美保子が行方不明になったのは、父から買ってもらった大事なブローチを同級生・武藤大介(吉成翔太郎)に河原に投げ捨てられ、それを探していたから。父が美保子を見つけた時、「お父さん、ブローチなくしちゃった。ごめんなさい」と美保子が必死に謝り続ける姿からは、大好きな父への後ろめたさがひしひしと伝わってくる。

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