高橋一生、『民衆の敵』第2話で見せた“裏の顔” 二世議員が心に抱えた闇とは?

『民衆の敵』が晴らす深い闇

 『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)第1話では、佐藤智子(篠原涼子)が無所属にて選挙戦を見事勝ち抜き、念願の市議会議員となった。第2話からは「市議会議員編」に突入し、登場人物の裏表が生々しく描かれた。煌びやかな政界の中でピシッと髪型を決めた藤堂誠(高橋一生)が、プライベートでは風俗嬢に夢中になるその様は、単に“市政エンタテインメント”という言葉では足りないほど、インパクトのある描写だ。


 市議会議員が行う仕事は大きく分けて、「本会議への出席」「委員会への出席」の2つ。佐藤は、自身の掲げたマニフェストを実現するため、教育こども委員会に入会するべく、多数派の犬崎(和久)派につくことを決める。犬崎から誘われた酒の席へ出向き、覚えたての“忖度”で愛想を振りまく佐藤。しかし、委員会に入るためには、ネットで炎上してしまった前田議員(大澄賢也)との居眠り問題について、自分が誤っていたと謝罪することを迫られると、佐藤は議会の場でこれに真っ向から反発。その場で国語辞典を引き、「政治家」の2つ目の意味「揉め事の調整や駆け引きのうまい人」を読み上げ、これにはなりたくないと主張する。「嘘ついて得するのかって。そんなこと言ったら正直者が損する世の中になっちゃうじゃないですか! 私、そんな世の中で子育てしたくないです」と他人の気持ちを推し量るどころか、多数派に向け反旗をひるがえすのだった。


 この佐藤の行動は、藤堂の「政治家として何をするのか見てみたい」という一言が原動力にもなっている。藤堂は代々続く政治家一家の次男。二世議員で、選挙戦では演説に元総理大臣が駆けつける手厚い応援があり、それは彼に政界の椅子がすでに用意されていることを示している。だが藤堂は、総理大臣の演説中は、選挙カーで俯きながら話を聞くような態度。犬崎の酒の席では、誰よりも早く店を後にし、すぐさま偽名で風俗嬢に電話をかける始末だ。親の七光りで政界に入り、敷かれたレールの上を走ってきた藤堂には、歪んだ裏の顔がある。「何してるんだろうね。分からないんだ」「気が滅入ることがあると、莉子ちゃんに会いたくなっちゃう」、そう言って風俗嬢の艶めかしい脚をさする藤堂の表情は、雨の日に捨てられた子犬のように心細い目をしている。うねるパーマの彼に莉子が「感じ悪いよ。その笑顔」と言い出すほどに藤堂の笑いは濁っている。

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