『奥様は、取り扱い注意』が描く“不倫”と“女の愛” 西島秀俊演じる夫が朗読した本の意味とは?

西島秀俊が朗読する本の意味とは?

 今回のテーマが「読書会」ということで、『初恋』のほかにも、ギュスターヴ・フローベールの長編小説『ボヴァリー夫人』、山本周五郎の時代小説『ちいさこべ』、ジェーン・オースティンの長編小説『高慢と偏見』という本が登場する。これらの小説の内容もまた、同ドラマとリンクしているから面白い。『ボヴァリー夫人』は田舎の平凡な結婚生活に倦んだ主人公の若い女が、不倫や借金地獄に追い詰められていくが、彼女の夫は一切気づいていないという物語だ。エピソード04「読書会」で描かれていた、夫が浮気していることを妻は知らず、夫は“身代金一億円”を周りから借りて解決しようとする模様と通じる部分がある。

 一方で『ちいさこべ』は両親を失ってしまった主人公が、仕事と人助けの狭間で悩みながらも奮闘していく話だ。これは、冒頭の菜美のモノローグ「私たちは正義の味方を気取っていたわけじゃない。ただ誰かに必要とされる存在になりたかっただけだ」を思い出す。

 そして、一番初めに「読書会」の題材になっていた『高慢と偏見』。同小説の作者ジェーン・オースティンが執筆した小説のほとんどは、イングランドにおける田舎の中流社会を舞台にしており、結婚を中心とした女性の私生活を皮肉と愛情を込めて描いている。まさに、『奥様は取り扱い注意』を彷彿とさせる。平和なこの町に暮らす主婦たちに、次はどのような事件が襲いかかるのだろうか。

(文=戸塚安友奈)

■放送情報
『奥様は、取り扱い注意』
日本テレビ系にて毎週水曜夜10時~
出演:綾瀬はるか、広末涼子、本田翼、中尾明慶、銀粉蝶、石黒賢、西島秀俊
原案・脚本:金城一紀
演出:猪股隆一ほか
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/okusama/

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