「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『アナベル 死霊人形の誕生』『恋と嘘』

編集部の週末オススメ映画(10月13日~)

リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、編集スタッフ2人がそれぞれのイチオシ作品&特集上映をプッシュします。

『アナベル 死霊人形の誕生』

 リアルサウンド映画部イチの恋愛体質男、ティ~ンコウ松田がオススメするのは『アナベル 死霊人形の誕生』。

 2013年に『死霊館』に登場し、全世界に鮮烈な印象を与えた実在の人形「アナベル」の誕生秘話を描いた作品です。『死霊館』シリーズの生みの親であり、現代ホラー映画界におけるトップランカーである天才ジェームズ・ワンが製作を担当し、ジェームズ・ワンとは『ライト/オフ』でタッグを組んだ俊英デイビッド・F・サンドバーグが監督を務めています。

 なにを隠そう、筆者は大の“呪いの人形フェチ”で、旅先であやしげな骨董品屋をみつけては、誰がどう見ても呪われていると思しき人形を購入し、友人たちにプレゼントするのを悦びとしています。新聞紙でぐるぐる巻きにした人形を開けたときの、友人たちの恐怖に満ちた顔を見るたび、「本当にこの人形を買って良かった」と心の底から思います。いまでも友人の家には「ひとみ」と名付けられた5歳児くらいの手足が妙に長い人形(いろいろあって除霊済み)が、煤けた顔で静かに笑みを湛えています。

 さて、そんな呪いの人形フェチの視点から見たとき、アナベルの造形はどうか。白いドレスにツインテールという清純そうなファッションと、4~5歳児程度の背丈なのに頭身は大人に近いというアンバランスな体型、そして楽しいのか怒っているのかわからない微妙な笑顔と、ポイントをしっかり押さえた作りです。目玉や手足などのディティールも“不気味の谷”ど真ん中で、ヴィンテージ感も申し分ありません。公式プロフィールを参照すると、趣味は「弱みにとり憑く」で好物は「少女の悲鳴」、苦手なものは「神父の祈祷」と、悪霊丸出し。現在はアメリカ・コネティカット州のオカルト博物館で厳重に保管され、月に2回は神父が祈祷しているのだとか。呪いの人形フェチにとっては、いつかは手にしたい夢の“スーパー呪いの人形”と言って良いスペックでしょう。車で言ったらカウンタック、お酒で言ったらドンペリ、魚でいったら本マグロです。

 しかし、いくら主演女優が超一流でも、映画自体がダメだったら宝の持ち腐れ……ですが、ご安心ください。デイビッド・F・サンドバーグ監督の演出は、前作『ライト/オフ』を超える切れ味で、フレッシュなアイデアに満ちた多種多様の恐怖を与えてくれます。物言わぬアナベルの魅力を存分に引き出すその恐怖演出に、筆者は思わず「やられた!」と口にしてしまいました。なにが起こるかは劇場で確かめてほしいので詳細は伏せますが、110分いっぱいに繰り広げられる斬新な恐怖演出の連続は、刺激に慣れたコアなホラー映画ファンをも唸らせるはず。

 呪いの人形が好きな方はもちろん、そうではない方にも無理やり観せたいくらいオススメの作品です。

■公開情報
『アナベル 死霊人形の誕生』
新宿ピカデリーほかにて公開中
製作:ジェームズ・ワン、ピーター・サフラン
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
出演:ステファニー・シグマン、タリタ・ベイトマン、ルル・ウィルソン、アンソニー・ラパリア、ミランダ・オットー
配給:ワーナー・ブラザース映画
映倫:PG12
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:http://annabelle-creation.jp

『恋と嘘』

 2017年劇場鑑賞本数478本(2017年10月13日現在)、週末は基本的に映画館で暮らしている、リアルサウンド映画部のロン毛担当・宮川がオススメするのは、『恋と嘘』。

 DNAなどのあらゆるデータの分析によって、自分と最高の相性を持つ相手がわかるとしたらどうだろうか。しかもその相手と結婚しなければいけないとしたら……。

 映画『恋と嘘』では、結婚相手を政府が選ぶ、恋愛禁止の近未来の日本を舞台に、政府によって選ばれた“最良”の結婚相手である高千穂蒼佑と、幼なじみの司馬優翔のあいだで、主人公・仁坂葵が揺れ動く模様が描かれる。

 原作はマンガアプリ「マンガボックス」で連載され人気を博した同名コミック。今年7月にはアニメ化もされ、こちらも絶大なるファンを獲得している。今回の映画版では、コミック&アニメでは男子が主人公だったところを女子に変更し、原作とつながりを持つアナザーストーリーとして制作されている。

 本作が昨今増え続けている少女漫画原作映画と少し異なると感じられるのは、この背景によるところ、そしてSFチックな設定によるところが大きいだろう。もともとのターゲットが男性だった作品だが、DISH//の北村匠海と劇団EXILEの佐藤寛太という人気若手俳優を起用し、そのどちらを選ぶのかという主人公の揺れ動く感情に、女性ファンは共感できるはず。さらにもともとの原作ファンも、その設定の変更や原作とのつながりなど、楽しめるポイントも大いにあると感じられる。

 そして何と言っても主演・森川葵の存在は大きい。今回のような主演作はもちろんだが、10月28日に公開される生田斗真主演映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』など、助演でも圧倒的な演技力とその表情の豊かさで大きなインパクトを残す彼女は、もはや今の若手女優のなかでも代わりのいないポジションにいるのではないだろうか。そんな森川葵の魅力が十二分に発揮された作品になっている。

 なお、リアルサウンド映画部では森川葵のインタビューを近日掲載予定。本作の話はもちろん、上記のような表情の豊かさについてや、若手女優のなかでのポジションといった話も訊いているので、こちらも楽しみにしてほしい。

■公開情報
『恋と嘘』
10月14日(土)全国ロードショー
出演:森川葵、北村匠海、佐藤寛太、浅川梨奈、田辺桃子、遠藤章造、眞島秀和、温水洋一、中島ひろ子、三浦理恵子、木下ほうか、徳井義実
監督:古澤健
脚本:吉田恵里香
原作:『恋と嘘』ムサヲ(講談社)
主題歌:阪本奨悟「HELLO」(A-Sketch)
制作プロダクション:The icon
配給:ショウゲート
(c)2017「恋と嘘」製作委員会 (c)ムサヲ/講談社
公式サイト:koiuso.jp

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