ホログラフィック舞台劇場「DMM VR THEATER」の可能性とは? 「ドリフェス!」ライブレポ

「DMM VR THEATER」レポート

 2015年4月より横浜に開設された「DMM VR THEATER」は、世界最高峰のシステムで実現したホログラフィック舞台劇場だ。設立されて約2年、同劇場ではX JAPANのギタリスト・hideのライブをはじめ様々な公演が行われてきた。

 VRと言えば3Dメガネやヘッドマウントディスプレイを装着するイメージが強いが、「DMM VR THEATER」ではそれらを一切着用しない。肉眼でリアルな立体映像を見ることができる。「ホログラフィック」という最新鋭の映像表現によってステージ演出が施されており、パフォーマーの躍動感ある動きや表情が楽しめるため、実際に目の前に“存在”しているようなリアルさなのだ。

 リアルサウンド映画部は、9月15日に「DMM VR THEATER」を訪問。本稿では、ホログラフィックを実際に体験した感想や、現在行われている公演「DearDream&KUROFUNEドリフェス!イリュージョンShow Time」(取材日9月15日/C公演)のライブ模様をレポートする。

 劇場内は、横幅約10メートル、奥行き約4メートルのステージ舞台に、客席が352席(プラス車椅子2席)と、“劇場”というよりも“映画館”に近いような印象だ。音声にも力を入れており、9.1chマルチサラウンドシステムを搭載。劇場を囲うように設置されているスピーカーによって、劇場内を音が移動していくような感覚を味わえる。公演コンテンツのストーリーに沿うように、サウンドにも動きが生じているため、よりリアルさを体感できるのだ。

場内スピーカー

 たとえば、昨年11~12月に公演された「ONE PIECE ホログラフィックバトルシアター」では、麦わらの一味×海軍×王下七武海が熱いバトルを繰り広げるのだが、全方向から耳に入ってくる音が映像とともに広がっていくため、戦闘シーンがより迫力を増していた。

 さらに、照明にも工夫が見られる。昨年夏に公演された「レジェンドオブふなっしー」では、ドラゲー(人型ドラゴン)がふなっしーに向かって炎を吐くシーンがある。すると、映像とともにステージ上に設置された照明が赤く点滅。同時に、照明の“熱”により炎の熱さも感じられるように設計されているという。また、公演コンテンツの動きにあわせて照明も照らす位置を移動させていく。加えて、映像の“影”も変化していくのだ。この映像(影)と光の滑らかな連動により、立体感と現実感が増し、実際に目の前で存在しているように感じる。

「レジェンドオブふなっしー」(c)ふなっしー

 客席から見るとステージの上に公演コンテンツが存在しているように見えるが、実際にステージに上がって見るとそこには何もない。ステージの前に設置されているハーフミラー性能のスクリーンに二次元(平面)の公演コンテンツが見えるだけだ。ハーフミラー性能のスクリーンの下にある映像投影面に1.9mmピッチのLEDビジョンが設置されている。そこから直接映像が投影され、ハーフミラー性能のスクリーンに反射させることで、まるでステージ上に存在しているかのように公演コンテンツを映し出すことができるという仕組みだ。

ステージの構造
ステージを横から見た様子

 ステージ上は奥から手前にかけて緩やかな下り坂になっている。これもまた、公演コンテンツに奥行きと立体感を与える重要な要素のひとつ。たとえばキャラクター同士が重なる瞬間や奥に進んだ際、映像上はキャラクターを数センチ上に動かすのだが、傾斜によって接地面を維持することで前後関係がナチュラルに表現される。しかし、傾斜があることによって、公演コンテンツがステージから浮いて見えないようにするのには一苦労しているらしい。数cmでも地面から浮いて見えてしまうと観客に違和感を与えてしまうそうだ。そのため、不自然に見えないように微調整を繰り返すのだとか。

コンテンツと光と影

 元となるキャラクターや人物の身長、体型、顔の大きさ、肌の質感など細部に気を配り、忠実に再現されている公演コンテンツ。スカートのひらひらした動きや、髪の毛のなびき方など“風”の表現も実に秀逸である。ほかにも様々な工夫が凝らされており、一つひとつの公演、コンテンツ、動きに細心の注意を払い、丁寧に製作されていることが伺える。

 さて、現在公演中の「DearDream&KUROFUNEドリフェス!イリュージョンShow Time」(以下、「ドリフェス!」/10月1日まで)では、このホログラフィックがさらに高度なものへと進化していた。立体感と滑らかさがより自然に仕上がっている。影の付け方が繊細で照明の角度と動きにしっかりとマッチ。服のなびき方、髪の弾み方、仕草など、動作ひとつとっても実にリアルである。まるで目の前で彼らが本当にライブしてるような感覚に陥った。加えて、今回の「ドリフェス!」は“ユーモア”も満載だ。ライブの合間にあるちょっとしたお楽しみコーナー(MC)もまた彼ら一人ひとりの個性が輝いており、ファンには堪らない内容になっている。

(c)BNP/BANDAI, DF PROJECT

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