ナタリー・ポートマンとタッグを組むことになった背景とは? 『プラネタリウム』監督インタビュー

『プラネタリウム』監督インタビュー

「リリー=ローズが出演することになったきっかけはナタリーだった」

ーーそんな1930年代を舞台に、スピリチュアリズムの先駆者フォックス3姉妹と、フランスの映画プロデューサー、ベルナール・ナタンの話が映画のなかには盛り込まれています。この実際にあった2つのまったく異なる物語をひとつの映画にしようというアイデアはどこから生まれたのでしょうか?

ズロトヴスキ:実は当初、ベルナール・ナタンは作品のメインテーマではなかった。この作品が動き出したのは、ナタリー・ポートマンをフランスの映画界にどうやって組み込んでいくかというアイデアだった。それが、アメリカからヨーロッパにやってくるキャラクターに繋がって、ストーリーを書き始めたの。そこにユダヤ人のプロデューサーを登場させるというアイデアが生まれて、暗い時代のプロデューサーをどうやってストーリーに取り込むかを考えた時に、ベルナール・ナタンのことを知った。それでフォックス3姉妹の要素とベルナール・ナタンの要素が一緒になったというわけ。2つのアイデアをどのように組み合わせるかは、ロバンともアイデアを出し合いながら決めていったわ。

ーーフォックス3姉妹の話のほうが最初にあったわけなんですね。

ズロトヴスキ:これは実話なんだけど、妻を亡くしたニューヨークに住むある銀行員が、ビジネス面や今後の人生においてのアドバイスをもらうため、死んだ妻と交信させてほしいと、フォックス3姉妹に頼んだという話があった。その実話から、もしその銀行員がフォックス3姉妹の誰かと恋に落ちたらどうなるんだろうとイメージを膨らませて、今回の作品のストーリーに繋がっていったというわけ。舞台をニューヨークからパリに、男の職業を銀行員からプロデューサーに変更していくなかで、ベルナール・ナタンに繋がっていったの。

ーーそれでは、ナタリー・ポートマン主演で映画を撮るというアイデアと、フォックス3姉妹の映画を撮るというアイデア、どちらが先に決まっていたのでしょうか。

ズロトヴスキ:私自身はフォックス3姉妹が原点だと思っていたんだけど、頭のどこかではずっとナタリーと一緒に映画を作りたいと考えていたから、どっちが先とは言えないかも。ナタリーとはこの映画を撮り始める前から知り合いで、いつか彼女の映画を撮りたいとずっと考えていた。まだ女性に発言権がなかった時代に、女性で初めて米大統領に立候補したビクトリア・ウッドハルという人物がいたんだけど、彼女には妹がいて、2人は霊能力者としても活躍していたの。その話をナタリーとしていたときに、これをどうにかして映画として描きたいということになって、今回の作品に繋がったというわけ。

ーーナタリー・ポートマンと親交を深めることになったきっかけは?

ズロトヴスキ:ナタリーとは共通の知人を通じて知り合ったの。ナタリーを担当しているメイクアップアーティストで、彼女は私の作品にも参加してくれていた。今の私からしたら、なぜこれまでナタリーと一緒に映画を作らなかったんだろうという気持ちのほうが強いかも。ただ、私はフランスで映画を撮りたかったから、彼女がフランスに来てくれるチャンスをずっと待っていたようなところはあるかもしれないわね。ナタリーがフランスに移住するというのを聞いて、この機会に一緒に作ろうということになったわけ。彼女はすでにスターとして確立した存在だけど、チャンスを逃さないように、アメリカ以外の国の監督の作品やインディーズ映画など、常にいろいろな作品をチェックしている。私の作品も、初監督作である『美しき棘』の頃からずっと追ってくれていたわ。グザヴィエ・ドランの新作『The Death and Life of John F. Donovan(原題)』にも出演していて、活躍の幅を広げている、ハリウッドでは稀有な存在の女優ね。

ーーナタリー・ポートマンとリリー=ローズ・デップは本当の姉妹のように映っていました。

ズロトヴスキ:リリー=ローズが出演することになったきっかけはナタリーだった。リリー=ローズは当時14~15歳ぐらいで、女優としての経験もほとんどないような状態だったんだけど、ナタリーが「彼女はどうだろう」と写真を送ってきてくれたの。それで実際に会ってみて、彼女しかいないと即決したわ。12歳でデビューしたナタリーと、ジョニー・デップとヴァネッサパラディを親にもち、小さい頃からスポットライトを浴びてきたリリー=ローズ。そういう点でも共通点があったし、あなたが言うようにリリー=ローズはまるで若い頃のナタリーを見ているかと思うほど、見た目が似ていた。今回の2人が演じたローラとケイトも、小さな頃から注目を集めてそれを意識してきたという点では、実際のナタリーとリリー=ローズとも近い部分があった。リリー=ローズが今後どのような女優になっていくのかもすごく楽しみだわ。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『プラネタリウム』
新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開中
監督:レベッカ・ズロトヴスキ
脚本:レベッカ・ズロトヴスキ、ロバン・カンピヨ
出演:ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、エマニュエル・サランジェ、アミラ・カサール、ピエール・サルヴァドーリ、ルイ・ガレル、ダーヴィット・ベネント、ダミアン・シャペル
提供:ファントム・フィルム/クロックワークス
配給:ファントム・フィルム
2016年/フランス・ベルギー映画/英語・フランス語/108分/シネマスコープ/カラー
字幕翻訳:松浦美奈/原題:Planetarium/PG12
(c)Les Films Velvet - Les Films du Fleuve - France 3 Cinema - Kinology - Proximus - RTBF
公式サイト:http://planetarium-movie.com/

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