石原さとみと菅田将暉、幸せのキスシーンも 『地味にスゴイ!DX 校閲ガール』が伝えたメッセージ
二階堂に話を聞くと、第三部までの原稿に隠された3つの暗号は、彼女が三枝を誘って訪れた“ハート型”にゆかりある場所だと判明。そして第4の暗号の地は唯一、三枝から誘いを受けた場所だったが、離婚したため訪れていないと言う。そんな彼女を連れて現地に向かうと、そこにあったのは木々の向こうに浮かび上がるハート型の空だった。「言ってくれたら、私、一緒に見に来たのに…」と笑う二階堂。言葉や表情には出さない三枝だったが、心の中では妻との旅に喜びを感じ、それを不器用にも暗号として原稿にしたためていたのだ。
自分の気持ちを伝えることの大切さ、そして、校閲のおもしろさを再認識した悦子は、かねてより打診されていた副編集長就任を辞退。すると二階堂から、社内に雑誌の校閲係を設けることになったと告げられ、悦子は無事に雑誌校閲係として校閲部に復帰。私生活では幸人との同棲をスタートさせるという、なんともDXなハッピーエンドで終幕となった。
全編を通し、石原の可愛らしさが引き立つコーディネートは圧巻の一言。場面が変わるたびに訪れる、ファッション誌をめくるようなワクワク感。そして、とびきりのオシャレをした悦子と幸人のラブラブぶりを見ていると、まるで憧れの洋服を手に取ったような高揚感が湧き出てくる。さらに、悦子が夢の中で答えていたクイズ問題には、石原出演の映画『忍びの国』を彷彿とさせるキーワードを散りばめる遊び心や、米岡と正宗(杉野遥亮)が同性愛を貫いていることをさらりと盛り込むテンポの良さも秀逸で、鑑賞後の爽快感は図抜けてスゴかった。
そんな晴れやかなストーリーの中で描かれたのは“言葉にしないと伝わらない”というまっすぐなテーマ。そしてそこには、他人に対してのみならず、自分自身の本音に耳を傾けることの大切さというメッセージも込められていた。夢を叶えるための努力は必要。けれども自分の本心に気付いたとき、決してその夢に縛られることはないのだ。
正しいと思って歩み始めた道でも、間違いに気付けば赤字を入れて修正すればいい。悦子のポジティブさとキラキラと輝く笑顔は、多くの人に“自分が決めた道を進む勇気”を与えたのではないだろうか。
■nakamura omame
ライター。制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。5歳・7歳の息子を持つ2児の母。ママ向け&エンタメサイトを中心に執筆中。Twitter
■放送情報
『地味にスゴイ!DX 校閲ガール』
出演:石原さとみ、菅田将暉、本田翼、和田正人、江口のりこ、田口浩正、足立梨花、伊勢佳世、曽田茉莉江、松川尚瑠輝、杉野遥亮、ミスターちん、長江英和、店長松本、麻生かほ里、高橋修、鹿賀丈史(特別出演)、芳本美代子、青木崇高、岸谷五朗、木村佳乃、佐野ひなこ
原作:宮木あや子「校閲ガール」シリーズ(KADOKAWA・角川文庫刊)
脚本:中谷まゆみ
チーフプロデューサー:西 憲彦
プロデューサー:小田玲奈、森雅弘、岡田和則(光和インターナショナル)
演出:佐藤東弥
制作協力:光和インターナショナル
製作著作:日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/jimisugo/special/