『銀魂』のヒットを支える、ムロツヨシ&佐藤二朗 “悪ふざけ”の魅力

福田組の飛車角! 佐藤二朗とムロツヨシ

 この2人、3月まで日本テレビ系にて放送されていた連続ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)にも出演していたが、この作品でも自由奔放なアドリブ演技が話題になった。福田監督作品によくある“相手が笑ってしまった”シーンもそのまま劇中で使われることがある。このことに関して、福田監督は「二朗さんは二度同じ演技ができないからなんです」と理由を説明する。つまり、佐藤の突拍子のないアドリブで、受ける側が笑ってしまい、本来ならNGになってしまうのだが、そのテンションの芝居を二度できないため、断腸の思いで、素で笑ってしまっているシーンを使うというのだ。福田監督は「二朗さんの芝居はやり直すと、だいたいおもしろくない」と一刀両断する。

 佐藤もそのことはわかっているようで「福田組には遊びに来ているようなものなんで、もう一回やれといわれても覚えてない」と悪びれない。しかし、こうした発言は、福田監督の“オールエイジに通用する笑い”というポリシーに符合しているように感じられる。佐藤のこうした演技は、シンプルに笑えるのだ。さらに素の反応を作品に取り込みつつも、物語の世界観を崩すことなく成立させられるのは、演出側と演じる側の信頼関係があるからだろう。


 『銀魂』のイベントでも、小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、岡田将生、長澤まさみ、柳楽優弥ら主演級の俳優たちがズラリと顔をそろえるなか、福田監督、ムロ、佐藤の“悪ふざけ”が、場を支配することが多々ある。「変にインテリジェンスを感じさせない笑いが好き」という福田監督にぴったりのムロ&佐藤。今後も福田組の風神・雷神として大暴れしてくれることは間違いないだろう。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■公開情報
『銀魂』
全国公開中
監督:福田雄一
原作:「銀魂」空知英秋(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
出演:小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、新井浩文、吉沢亮、早見あかり、ムロツヨシ、長澤まさみ、岡田将生、佐藤二朗、菜々緒、安田顕、中村勘九郎、堂本剛
製作:「銀魂」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画 
(c)空知英秋/集英社 (c)2017映画「銀魂」製作委員会
公式サイト:gintama-film.com

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