女優だけじゃない! 米エンタメ業界にはびこるボディ・シェイミング(体型への批判)の現状
ここのところ、痩せすぎてしまったことで注目を浴びたのは14年ぶりに新曲をリリースしたアーロン・カーターだ。現在29歳のアーロンは、19歳の時に食道裂孔ヘルニアを患い、「体重を増やしたいけど、拒食状態にある」と過去にその葛藤を表現していたが、先日あるファンからSNSで「がん患者みたい」と言われ「ひどく傷付いた。僕が聞いていないとでも思っているの? これはボディ・シェイミングだ。いじめだよ。僕はすでに自分の身体の状態を公表していたじゃないか!」と怒りをツイート。ほどなくしてERへ搬送され「ただの検査」と言い張っているものの、健康状態が懸念されている。
オフ時のレオナルド・ディカプリオのビール腹やキアヌ・リーブスのよれよれ具合はおなじみで、安心感すら感じる。その一方で、涼しい顔で主役を張っている若手俳優やアーティストたちもボディ・シェイミングに悩んでいることが明らかになった。ロバート・デ・ニーロやジャレッド・レト、クリスチャン・ベール、ジョナ・ヒルなど、役作りで誰だかわからないレベルの体重の増減を繰り返す俳優たちは確かに称賛に値するが、私たちが思い描いている“そのままの姿”をキープしている俳優にもすさまじい努力が伴っているのかもしれない。ギャラをもらっているからには体型維持も仕事の一部と言ってしまえばそれまでだが、日常生活と同様、映画にも様々なタイプの人間が存在していてこそリアリティが際立つのではないか。
■賀来比呂美
ライター/編集者。大学で映画学を専攻。海外セレブ情報誌の編集者を経て、現在、「シネマカフェ」、「Petomorrow」などで執筆。好きな監督はウェス・アンダーソン、好きなものは映画、海外ドラマ、お酒、犬猫。