『あなたのことはそれほど』はなぜ共感できないのに人気なのか? 不倫経験者が見るポイント

「結婚して数年も経てば、相手に対して恋心を抱けなくなるのはごく普通のことですが、それを受け入れられない心情は、多くの人が理解できるのではないでしょうか。もちろん、お互いに信頼関係と愛情を育み、仲の良い夫婦として過ごせるのがベストですが、そうした“理想の夫婦”になれるのは、実は一握りなのかもしれません。美都のように子どもがいない夫婦で、すでに相手への感情が冷めているのであれば、次の相手を探すという選択肢も現実的にありうる。そう考えると、主人公たちは浅はかだとは感じるものの、他人事として笑って見ることもできません。既婚者同士が、同じものを背負っているからこそ惹かれ合うケースは世の中にたくさんあって、ふと隣を見れば、不倫カップルはありふれています。少なくとも、隣人の情事を覗き見ているようなゴシップ的な楽しみを、本作に見いだすことは可能でしょう」

 『逃げるは恥だが役に立つ』『カルテット』と、名作ドラマが続く同枠においては異質な作品といえる『あなたのことはそれほど』だが、登場人物の心情に寄り添うだけではない、新たなドラマの見方を提供する作品であることは確かなようだ。

(文=松下博夫)

■放送情報
火曜ドラマ『あなたのことはそれほど』
毎週火曜22:00~22:54放送
出演:波瑠、東出昌大、仲里依紗、鈴木伸之、大政絢、中川翔子、黒川智花、成田偉心、山崎育三郎、橋本じゅん、麻生祐未
原作:いくえみ綾『あなたのことはそれほど』(祥伝社『FEEL YOUNG』連載中)
脚本:吉澤智子
プロデューサー:佐藤敦司
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
製作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/anasore/

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