木村佳乃『ひよっこ』で再注目! 洗練された女性からホッコリお母さんへ

 現在放送中の連続テレビ小説『ひよっこ』で、有村架純演じるヒロイン・みね子の母・美代子を演じる木村佳乃の演技が「心に沁みる」と話題になっている。上品な顔立ちで、スタイルも良く、語学も堪能。映画やドラマのヒロインを演じることも多々あり、どちらかというと都会的で洗練された匂いがする木村だが、本作では畑仕事に精を出し、大きな心で家族を包み込む、やや泥臭い母親役を好演している。

 木村と言えば、20歳で女優デビューを飾ると、1997年公開の映画『失楽園』で役所広司演じる久木祥一郎の娘・知佳役でスクリーンデビューを果たす。当時は、自身の育った環境にも起因しているのか、演じる役も、育ちのよいお嬢さま的なものが多く、どちらかというと庶民的な印象はなかった。

 そんなパブリックイメージをベースにしつつも、1999年放送の福山雅治主演ドラマ『パーフェクトラブ!』(フジテレビ系)では、いい男をゲットするためになら何でもする軽いOL役を演じるなど、徐々に役柄の幅を広げていった木村。その後も、さまざまな映画やドラマに出演するなど常に第一線で活躍してきたが、『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)の片山雛子のように、美人で頭脳明晰、非の打ちどころがないようにみえて、裏に多くのものを抱えているという二面性のある役を演じると、この上なくはまる印象があった。

さらに近年では、上記のようなイメージに“狂気性”を兼ね備える役にも挑戦するようになる。ドラマ『ファーストクラス』(フジテレビ系)の廣木リカや、ドラマ『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)真理亜などは、視聴者をゾッとさせるような破壊力抜群の演技だった。

 非常に役柄のレンジが広い木村だが、前述したとおり、どんな役でも、どこかしらに育ちの良さや気品というものがにじみ出ていることが多かった。しかし『ひよっこ』では、そういったものは一切消し去り、ただただ家族を大切に思う広い心を持った純朴な母親を演じている。とはいえ、木村の持つ凛とした佇まいは随所にみられる。そのさじ加減が抜群だ。

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