キングコングの“全力大暴れ”が気持ち良い! ダースレイダーの『キングコング:髑髏島の巨神』評
もちろん、髑髏島という巨大生物がひしめく環境下での人間の弱さ、あるいは途中で明かになっていくある人物のストーリーなどで垣間見せてくれる情感はありますが、映画自体はキングコングの剛腕と共に推進していきます。剛腕一発勝負の思いっきり。対決する巨大な生物たちも実に思いっきりの良いビジュアルをしています。スカルクローラーのビジュアルは『千と千尋の神隠し』の「カオナシ」だったり『エヴァンゲリオン』の「使徒サキエル」がモデルだと監督が公言しているように、わかりやすく「グロ」いです。(参考:『キングコング』監督が語る、日本のポップカルチャーとコングの関係性)
邦題もまた決意表明に一役買っています。髑髏島の“巨神”。本作におけるキングコングは怪物=モンスターではなく、巨大な神的存在として描かれています。これはゴジラなどの怪獣と共通する描き方ですが、それもそのはず。本作はレジェンダリー社制作の映画の共通世界である「モンスターバース」の一角を占めるのです。「モンスターバース」の住人には、ギャレス・エドワーズ監督版の『GODZILLA ゴジラ』もいます。本作の調査隊はモナークという機関なのですが、『GODZILLA ゴジラ』で渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士もモナーク所属の生物科学者でした。
そして、すでに本作に続く「ゴジラVSキングコング」企画が進行中だと発表されています。マーベル映画に続く、オールスター興行が待っているわけです。なので、マーベル映画同様に「絶対に」エンド・ロールが始まった瞬間に帰らないようにしてください。というか、この作品に限らずエンド・ロールはそこで流れる曲も含めて作品の一部なので、映画の最後の余韻まで含めて、是非楽しんで欲しいものです。
■DARTHREIDER a.k.a. Rei Wordup
77年フランス、パリ生まれ。ロンドン育ち東大中退。Black Swan代表。マイカデリックでの活動を経て、日本のインディーズHIPHOP LABELブームの先駆けとなるDa.Me.Recordsを設立。自身の作品をはじめメテオ、KEN THE390,COMA-CHI,環ROY,TARO SOULなどの若き才能を輩出。ラッパーとしてだけでなく、HIPHOP MCとして多方面で活躍。DMCJAPAN,BAZOOKA!!!高校生RAP選手権、SUMMERBOMBなどのBIGEVENTに携わる。豊富なHIPHOP知識を元に監修したシンコー・ミュージックのHIPHOPDISCガイドはシリーズ中ベストの売り上げを記録している。
2009年クラブでMC中に脳梗塞で倒れるも奇跡の復活を遂げる。その際、合併症で左目を失明(一時期は右目も失明、のちに手術で回復)し、新たに眼帯の死に損ないMCとしての新しいキャラを手中にする。2014年から漢 a.k.a. GAMI率いる鎖GROUPに所属。レーベル運営、KING OF KINGSプロデュースを手掛ける。ヴォーカル、ドラム、ベースのバンド、THE BASSONSで新しいFUNK ROCKを提示し注目を集めている。
■公開情報
『キングコング:髑髏島の巨神』
全国公開中
監督:ジョーダン・ボート=ロバーツ
出演:トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、MIYAVI、ジョン・C・ライリーほか
日本語版吹替キャスト:GACKT(ジェームズ・コンラッド役)、佐々木希(メイソン・ウィーバー役)、真壁刀義[新日本プロレス](レルス役)
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:www.kingkong-dokuro.jp