神木隆之介、なぜ漫画原作キャラで高評価? 原作ファンからも支持される演技に迫る
桐山零という原作漫画にある人物を模倣しているのではなく、零が経験してきたものを自身に取り込んで、染み込ませる。内に染み込ませたものは、ことあるごとに自然とあふれ出てくるので違和感がない。そこまでキャラクターを理解しようとする姿勢が、多くの人から支持される理由なのだろう。
とは言いつつも、内面的にキャラクターをキャッチし自身に染み込ませることにより、ビジュアル面にもそれを反映させるのが神木のこだわりでもある。本作では、自分で髪の毛を切ったという。その理由も「零なら床屋とかに行かず、自分で切ってしまうのではないか」という解釈からだ。さらに佇まいや座り方、歩き方なども「この人物ならこういう仕草だろう」という理解により、自身に癖としてつけておくというのだ。
こうして作り上げた桐山零。SNSや口コミのレビュー等でも非常に評判がいい。とにかく多いのが「とてもマッチしている」という評価だ。漫画やアニメの実写化に対しては、視点によっては見方が大きく変わる。“別物”と考えオリジナリティを求める者もいれば、忠実に再現すること正義とする人もいる。そんななか、神木は“キャラクターを理解する”ことにブレがないので、観ている側にも安心感があるのではないだろうか。
■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
■公開情報
『3月のライオン』
公開中
監督:大友啓史
原作:羽海野チカ『3月のライオン』(白泉社刊・ヤングアニマル連載)
脚本:岩下悠子、渡部亮平、大友啓史
音楽:菅野祐悟
出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、佐々木蔵之介、加瀬亮、前田吟、高橋一生、岩松了、斉木しげる、中村倫也、尾上寛之、奥野瑛太、甲本雅裕、新津ちせ、板谷由夏、伊藤英明、豊川悦司
製作:『3月のライオン』製作委員会
制作プロダクション:アスミック・エース、ROBOT
配給:東宝=アスミック・エース
(c)2017 映画「3月のライオン」製作委員会
公式サイト:3lion-movie.com