西内まりや『突然ですが、明日結婚します』は月9ブランドを取り戻せるか? 第一話レビュー

 西内まりや主演の月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ)が、昨夜23日より放送開始した。同作は、宮園いづみの同名漫画を原作にしたラブストーリーで、“結婚したい女”高梨あすかと“結婚したくない男”名波竜が、それぞれの結婚観をぶつけ合いながら惹かれあっていく模様を描く。ロックバンド・flumpoolのボーカルを務める山村隆太が、俳優デビューを飾ることでも話題となっている。

 結婚をテーマにしていること、ファッション誌『ニコラ』出身の女優と現役ミュージシャンという組み合わせ、人気少女漫画を原作としていることなど、前クールで最大のヒット作となった『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)との共通点が多い本作だが、それだけにどう違いを見せていくのかが評価のポイントとなることは間違いない。フジテレビの月9は近年、視聴率的には低調が続いているが、前クールで高評価を得た他局ドラマと似た座組みで勝負するのは、ある意味ではかなりチャレンジングな姿勢といえる。昼の情報番組『バイキング』(フジテレビ)が、“生ホンネトークバラエティ”というテーマで、芸能界やテレビ局の裏側にまで踏み込んだ内容が支持を集めつつある今、ドラマにおいてもフジテレビならではの刺激的なアプローチを期待したいところだ。

 さて、そうしたポイントを踏まえた上で第一話を観ると、これがなかなか面白い。まず、西内まりやがとにかく可愛いのである。西内まりやはこれまで、2013年『山田くんと7人の魔女』(フジテレビ)や2015年『ホテルコンシェルジュ』(TBS)などで主演を飾ってきたが、女優としてのキャリアはこれからが本番という印象だ。あまりの美貌ゆえ、視聴者にどこか浮世離れしたイメージを与えてしまうことが、かえって役柄の幅を狭めてしまっていた感は否めない。しかし、本作ではその恵まれたルックスを惜しげもなく前面に出すことで、「これぞ月9!」というべき華やかさをドラマにもたらしているのである。なぜいままで、西内まりやをもっと見せてくれなかったのか? そんな憤りさえ感じた視聴者は、決して少なくないはずだ。しかも、第一話からガツンとキスシーンも用意されている。初っ端からこの調子だと、ゆくゆくは大変なことになりそうである。覚悟しておくべきだろう。

 相手役の山村演じる名波竜も、良い味を出している。どこか人を見下すような眼差しと斜に構えた性格は、まさに少女漫画に登場するドSキャラを体現していて、ファンのみならず多くの女性の琴線に触れそうだ。実際、原作とのキャラの違いを指摘する声はありつつも、山村の演技は概ね好評で、さっそくイケメンウォッチャーたちの話題になりつつある。星野源が『逃げ恥』で一気にスターダムにのし上がったように、山村もまたさらにブレイクする可能性を十分に秘めているといえるだろう。本作で彼を知ったファンが、flampoolでのストレートで熱いメッセージソングを聴けば、そのギャップでさらにハートを打ち抜かれること必至である。

 脇を固める俳優陣も頼もしい。あすかの母・高梨典子役の石野真子や、名波の悪友・三上 響役の沢村一樹など実力派が揃っている。特に個性派女優として人気上昇中の岸井ゆきのが、あすかの同僚・牧瀬桃子役を演じているのは面白いところだ。映画『友だちのパパが好き』(15年)では、親友が自分の父親に恋をしてしまい困惑する娘を演じた彼女。持ち前の味わい深い演技で、物語をかき回してくれるに違いない。

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