『ファインディング・ドリー』監督&プロデューサーが語る、ピクサー作品成功の秘訣

『ドリー』監督&プロデューサーインタビュー

スタントン「僕自身もまた彼らを見たいと思っている」

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ーー今回の作品の中で特に思い入れのあるシーン、もしくは注目してほしいシーンは?

コリンズ:今回のMovieNEXのボーナス映像には、主人公のドリーが“忘れんぼう”だという設定が、物語を作る上でいかに大変だったかをクリエイターたちが語っている映像が収録されているの。その映像と本編を観て、『ファインディング・ドリー』を作り上げるのがどんなに難しいことだったかを理解してもらえると嬉しいわね(笑)。

スタントン:僕は脚本を書いている立場だからかもしれないけど、特にメランコリーな部分に目がいってしまうんだ。だから、ドリーが一番落ち込んでいる、海の中でひとりぼっちになって過去を再発見するシーン、そして家族と再会するシーンかな。これらのシーンは、物語全体の基盤となる部分だから、トーンも含めてうまく作り上げることができたと思っているよ。監督、そして脚本家の目線で作品を観直しても、これらのシーンがこの作品のすべてだと思える。物語の核を捉えることができたね。それと、これから観てくれる人たちには、この映画から“自己認識”のメッセージを受け取ってほしい。もしもひとりぼっちになってしまった時、自分でやっていけるという自信をどれだけ持つことができるか。ドリーの物語はそれを教えるのにピッタリなんだ。

コリンズ:それに、誰もが何らかの欠点を持っているもので、力をつけていこうと頑張っていくうちに、その欠点こそがスーパーパワーだということが見えてくる。欠点こそが最大の強みになり得るの。ただ視点を変えるだけでいい。ドリーが忘れんぼうだからあまり好きじゃないという人はドリー本人以外誰もいない。だから、私たちも彼女に自信を持って欲しかったの。

スタントン:僕は、この作品がハンディキャップを抱えているキャラクターを描いたものだとはこれっぽっちも思ったことがない。でも、ハンディキャップを抱えた子供を持つたくさんの親たちから感謝の言葉をもらったんだ。障害を持つ子供たちが克服しなければならないことなどがたくさん描かれているとね。でも僕はそれを狙っていたわけではない。僕はドリーのことを自分の弟や妹と同じくらいよく知っているけど、あまりに長く知っていると忘れて気づかないこともあるんだ。その人そのものしか見ていないからね。だから僕にとって、ドリーはドリーでしかなかった。ハンディキャップを克服する物語と言われれば、確かにそうなんだけどね。

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ーー今後、ハンクやデスティニーなどの新しいキャラクターが主人公の作品が生まれる可能性も?

スタントン:『ファインディング・ハンク』を作ってくれとみんなに言われるよ(笑)。ハンクはアメリカでも大人気なキャラクターなんだ。本物のタコよりも見ていて楽しいけど、性格はとても無愛想だというふたつの要素が人気を呼ぶのかもしれないね。ハンク以外にも『ファインディング・マーリン』や『ファインディング・ベイリー』を希望する声も多いんだ。可能性としてはなんでもありだね。

コリンズ:新たな主人公の物語を作る場合、私たちは『ファインディング・アンドリュー』(アンドリュー・スタントンを探すこと)が先だと言ってるわ(笑)。

一同:(爆笑)

スタントン:僕は自分の人生の8年間を魚とともに過ごしたんだよ(笑)。本当に長い時間だ。また新たに4年間を捧げなくてもいいのであれば、僕自身もまた彼らを見たいと思っているよ(笑)。それこそ、誰か若いクリエイターがチャレンジしてくれるといいかもしれないね。

(取材・文=宮川翔)

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(左から)アンドリュー・スタントン、リンジー・コリンズ

■リリース情報
『ファインディング・ドリー』
MovieNEX(4,000円+税)発売中&デジタル配信中
(c)2016 Disney/Pixar
公式サイト:www.disney.co.jp/movie/dory

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