『ファインディング・ドリー』制作陣が明かす“共同監督”のメリット 「議論がより良い作品を生む」

『ドリー』監督陣インタビュー

 『ファインディング・ニモ』の冒険から1年後の世界を描いた、ディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』が7月16日に公開される。忘れんぼうのドリーが、ただひとつ忘れなかった“家族の思い出”の謎を求めて、ふたたび冒険に繰り出す模様を描いた本作。メガホンを取ったのは、前作から続投となるアンドリュー・スタントン監督と、テレビシリーズ『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』などを手がけたアンガス・マクレーン共同監督だ。リアルサウンド映画部では、来日した2人に単独インタビュー。2人の関係性や制作総指揮のジョン・ラセターについて語ってもらった。

「僕たちはバットマンとロビンのような関係」

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ーー長年『ファインディング・ニモ』の続編は作らないと言っていたスタントン監督ですが、続編を制作するきっかけになったのは、2012年の3D映画『ファインディング・ニモ 3D』だったそうですね。(参考:『ファインディング・ドリー』監督陣来日 「まるで日本語で作られているかのよう」と吹替版を絶賛)製作総指揮のジョン・ラセターは、長年続編を望んでいたのではないかと思うのですが、続編のアイデアを話した時、彼はどのような反応をしていましたか?

アンドリュー・スタントン監督(以下、スタントン):僕が「ファインディング…」って言った瞬間に食い気味で「イェス!」と言ってきたよ(笑)。具体的なストーリーの構想を話した時の反応は、『ニモ』の時と同じような感じで、「魚たちの話というだけで僕はいいと思ったよ」と、『ニモ』の話をした時とまったく同じことを言っていた。

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ーー制作において、今回の『ファインディング・ドリー』と前回の『ファインディング・ニモ』で大きく異なっているのは、共同監督がいるという点ですよね。マクレーンさんはどのような経緯で共同監督を務めることになったんですか?

アンガス・マクレーン共同監督(以下、マクレーン):アンドリュー(・スタントン)には、僕がこれまで手がけてきた短編やTVシリーズ『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』などの作品で、製作総指揮を担当してもらっていて、長年一緒に仕事をしてきた関係性があった。密接に仕事をするようになったのは2008年の『ウォーリー』からかな。今回はアンドリューから、自分のビジョンを実行するために助けてほしいと言われて、参加することになったんだ。

スタントン:いや、上の人から君と組むように言われたんだよ(笑)。というのは冗談で、アンガスと僕は1997年に出会って、ずっと同じチームで作業をしてきた。でも実際はそこまでお互いのことをよく知っているというわけではなかったんだ。その関係が深まったのが、確かに『ウォーリー』だった。その『ウォーリー』のサイドストーリーとして、修理保全ロボットを主人公にした短編『バーニー』を作りたいとアンガスが言ってきた時に、僕がメンター的な立場になって、短編を作るのはどういうことかを、アンガスと一緒に作業をしながら教えていったわけなんだ。その時点ですでにアンドリューの技術は僕の助けなどいらないぐらいのレベルだったけど、その後も彼は素晴らしい短編を何本も手がけていった。『ドリー』を作ろうと心に決めた時、ちょうど僕は『ジョン・カーター』の続編を作ろうと思っていて、スケジュール的にどこまでできるのかがわからなかったんだ。そこで、誰だったら信頼して監督を任せられるかを考えた時に思い浮かんだのが、アンガスだったわけさ。残念ながら『ジョン・カーター』がうまくいかず、結果的に僕のスケジュールが空いたため、パートナーにアンガスを迎えて、一緒に監督をすることになったんだ。

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ーーなるほど。最初はマクレーン監督にすべて任せるつもりだったというわけですね。具体的にお2人はどのようなバランスで仕事をしていったのですか?

スタントン:簡単に言うと、僕が保安官で彼が副官、バットマンとロビンのような関係だね。僕がこの作品に対して持っていた意図や夢、こういうことがしたいという願望はもちろん、不安や問題点などをアンガスと共有することが重要だった。アンガスは僕のビジョンを完全に理解してくれていたので、終始一貫したビジョンを保ちながら作業を行うことができた。たとえそれぞれが違う場所にいてもね。前作があれだけヒットしたから、正直、プレッシャーがかかって本当に大変な時期もあったんだ。自分を含め誰を信頼していいのかわからなくなった時に、アンガスのような信頼できるパートナーがいてくれたことはすごく大きかったよ。

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