『ミュージアム』大友啓史監督が明かす、“主演・小栗旬”の必然性「親心を知ったタイミングは重要」

『ミュージアム』大友啓史監督が明かす、“主演・小栗旬”の必然性「親心を知ったタイミングは重要」

「沢村を演じられるのは今現在の小栗くんしかいないと思った」

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ーーカエル男が雨の日にしか犯行を起こさないという設定は、撮影的にもかなり制約があったのでは?

大友:ほぼ全編雨が降っていますから、撮影自体はかなり大変なものになるだろうと覚悟してはいました。自然に雨が降ってくれるとラクなんですけど、量の問題があるので、いずれにしても給水タンクを呼んで、給水車を準備して、こちら側で雨を降らせる段取りを整えておかなければいけないわけです。だから雨のシーンが多いと、時間も費用も労力も相当かかる。しかも撮影時期があまり雨が降らない11月から12月ですから。そんなこんなで相当覚悟していたんですけど、蓋を開けてみれば思ったほど大変ではなくて。せめて日照時間の少ない日本海側でやりましょうということで、新潟を選んだのが功を奏しましたね。その間、撮影が中止になったのは1回とか2回。西野刑事(野村周平)がビルの屋上から落とされるシーンで快晴になっちゃって、撮影が中止になりました。僕の監督人生のなかで初めてですよ、ピーカン(快晴)で撮影中止になったのなんて(笑)。

ーー確かに普通は逆ですもんね(笑)。

大友:だからみんな喜んじゃって。天候の面では当初予想していたよりは全然スムーズにいきましたし、さらに大変だろうと思っていた夜の公道でカーチェイスをしながら雨を降らすシーンも、ベテランカメラマンの山本英夫さんやスタッフのおかげですごくうまくいきました。照明を入れつつ、給水車と給水トラックを何列か並走させながら撮ったんですけど、数々の現場を経験してきた山本さんは、雨の見え方とかも含めてフレーミングをきっちりコントロールしてくれたので、僕もほとんどストレスなく乗り越えられましたね。

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ーー今回、小栗さんを主演に迎えることが監督を引き受ける条件だったそうですね。

大友:もちろん役者としての小栗旬にも興味はあったんですけど、話をいただいた当時、ちょうど小栗くんに子どもが生まれていたんですよね。で、今回の沢村刑事という役を演じるにあたっては、子どもが「かわいい」ことを知っているのはかなり大事な要素だと思ったんです。子どもができて家族の大切さを知り始めた時期の男って、相当変わりますから。小栗くんみたいなやんちゃ者は特にね(笑)。そういう時期を逃さずに捕まえておかないといけないなと。俳優にも家庭やバックグラウンドがあるから、フィクションに活かす“タイミング”がすごく重要だということですよね。作品のなかでは、刑事としての仕事の延長線上に自分の家族が現れる瞬間が用意されてますし、芝居としてもただ単に追い込まれていくだけではなく、家族や仕事とどう向き合っていくか、自分はどこから来てどこに行こうとしているのかというような自分のルーツまで、深く突っ込んでいく内容になってます。そのあたりも含めて、いったい誰がこの人物表現をしきれるんだろうと考えたときに、直感的に今現在の小栗くんしかいないと思ったんですよね。実際にやってみてもドンピシャでしたし、達成感がある仕事でしたね。

ーー『るろうに剣心』もそうですが、今年は『秘密 THE TOP SECRET』があり、今回の『ミュージアム』があり、来年は『3月のライオン』が公開を控えています。人気コミックの実写映画化が続きますが、監督のなかでは原作を映画化する際の基準みたいなものがあるのでしょうか?

大友:そんなに明確にあるわけではないんですけど、単純に原作を読んで心が震えたり感動したりする“なにか”があるかどうかですね。それはマンガだけじゃなくて、小説であってもオリジナルであってもそうで、自分の感情が動かされて、シンプルに撮りたいと思えるかどうか。それに加えて、僕はもともとテレビ出身のドラマ屋なので、『るろうに剣心』だったらアクション、『秘密 THE TOP SECRET』だったら近未来的な世界観で脳の中を見る行為をどう可視化していくか、そういうチャレンジすべきお題がひとつあるかどうかですかね。今回の『ミュージアム』も、全編雨ということや、造形的な面でチャレンジすべきポイントがありましたし。来年の『3月のライオン』に関しては、今までこだわってきたアクションやガジェットが一切ないので、まるっきりむき出しのドラマをどうやるかという、原点での新たなチャレンジがある。それが僕のなかでの基準です。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『ミュージアム』
全国公開中
出演:小栗旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己、田畑智子、市川実日子、伊武雅刀、大森南朋、松重豊、カエル男
原作:巴亮介『ミュージアム』(講談社「ヤングマガジン」刊)
主題歌:ONE OK ROCK「Taking Off」(A-Sketch)
監督:大友啓史
脚本:高橋泉、藤井清美、大友啓史
音楽:岩代太郎
製作:映画「ミュージアム」製作委員会
制作プロダクション:ツインズジャパン
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)巴亮介/講談社 (c)2016映画「ミュージアム」製作委員会
公式サイト:http://www.museum-movie.jp

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