姫乃たまのウワサの濡れ場評008『花芯』
愛と欲望に忠実なヒロインに共感を覚えた理由ーー地下アイドル・姫乃たまが『花芯』を観る
惰性で夫と性交した後、「好きな人に抱かれたらどんなになっちゃうんだろう」と言わずにいられないほど、恋の熱に浮かされていた園子。しかし、長く焦がれていた官能を体験した後は、「わたし、覗いちゃいけない深淵を覗いてしまったんだわ」と、どうしたらよいかわからなくなってしまうのです。
恋のない生活は、退屈で虚しいものです。しかし手に入れた後には、また別の虚しさが襲います。それでも女は花芯(中国語で子宮)に翻弄されることを、制御できません。たとえば私も自制心を失って、恋に落ちて、花芯の命じるまま生きて、果たしてその後いつ幸せになれるのでしょうか。私の子宮は何を求めて、どこへ向かいたいのでしょう。その恐怖から今日もなんとか平静を保って生きています。
劇中でも館内でも流れ続けていたエリック・サティの「Gymnopédies」が、ゆったりと狂気を掻き立てるように、私の体の中でいつまでも響いているのです。
■姫乃たま(ひめの たま)
地下アイドル/ライター。1993年2月12日、下北沢生まれ、エロ本育ち。アイドルファンよりも、生きるのが苦手な人へ向けて活動している、地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで開始した地下アイドルを経て、ライター業を開始。アイドルとアダルトを中心に、幅広い分野を手掛ける。以降、地下アイドルとしてのライブ活動を中心に、文章を書きながら、モデル、DJ、司会などを30点くらいでこなす。ゆるく、ながく、推されることを望んでいる。
[HP] https://himeeeno.wix.com/tama
[ブログ]姫乃たまのあしたまにゃーな
https://ameblo.jp/love-himeno/
Twitter https://twitter.com/Himeeeno
■公開情報
『花芯』
テアトル新宿ほか全国公開中
原作:『花芯』瀬戸内寂聴著(講談社文庫刊)
監督:安藤尋
脚本:黒沢久子
出演:村川絵梨、林遣都、安藤政信、毬谷友子
配給:クロックワークス
製作:東映ビデオ、クロックワークス
(c)2016「花芯」製作委員会
公式サイト:www.kashin-movie.com