『いつかこの恋を〜』『わたしを離さないで』『家族ノカタチ』……2016年1月期注目の連ドラは?

 次に紹介するのは、広末涼子と内田有紀……アラフォーの人々にとっては、何かと思い入れのあるこの2人が、互いのデビューから20年余を経た今、ついに初共演を果たすことが大きな話題となっているドラマ『ナオミとカナコ』(1月14日(木)22時〜/フジテレビ)。こちらもまた、同タイトルの小説を原作としたドラマです。『空中ブランコ』で直木賞を受賞した奥田英朗が、圧倒的なスピード感とスケール感で描き出した傑作犯罪サスペンス。バリバリのキャリア・ウーマンであるナオミ(広末)と、現在は専業主婦をしているカナコ(内田)。昔からの親友同士である2人は、ある切実な決心のもと、「親友」であると同時に「共犯者」となる……といった物語です。恐らく、相当ハードボイルドな作品になると思われますが、前クールの『偽装の夫婦』に続き、今回もまた夫からの暴力を受けている主婦役とは、何やら胸のざわめきが止まりません。願わくば、ハッピーエンドを希望します。

 そして、前クール、西尾維新の「忘却探偵シリーズ」を原作とした新垣結衣主演のドラマ『掟上今日子の備忘録』が好評だった日本テレビの「土曜ドラマ」枠。こちらで今回放送される亀梨和也主演のドラマ『怪盗 山猫』(1月16日(土)21時〜)も、人気小説の実写ドラマ化作品となっています。累計50万部の売り上げを誇る、神永学の「怪盗探偵 山猫」シリーズ。「忘却探偵」から「怪盗探偵」へ。昨今の探偵稼業は、実にいろいろですが、久しぶりの主演ドラマとなる亀梨和也をはじめ、成宮寛貴、広瀬すず、菜々緒など、彼を取り巻く共演者たちも、なかなか豪華です。ちなみに同局では、翌日の「日曜ドラマ」枠でも、人気小説を原作としたドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』(1月17日(日)22時30分〜/日本テレビ)を放送します。人気ミステリ作家・有栖川有栖の代表作を原作とするこちらの主演を務めるのは、女性たちから熱視線を浴び続けている斎藤工。さらには、彼とコンビを組む「アリス」役を、窪田正孝が演じることも注目です。その他にも、映画『ピンクとグレー』の原作者でもあるNEWSの加藤シゲアキの短編集を桐山漣主演でドラマ化した『傘をもたない蟻たちは』(1月9日(土)23時40分〜/フジテレビ)、富樫倫太郎の人気小説を原作とした小泉孝太郎主演の『警視庁ゼロ係〜生活安全課なんでも相談室〜』(1月15日(金)20時〜/テレビ東京)、個人的には黒川芽以の久々の連ドラ出演が嬉しいムロツヨシ主演の『悪党たちは千里を走る』(1月20日(水)23時53分〜/TBS)も、貫井徳郎の同名小説をドラマ化したものとなっています。

 といった感じで、小説のドラマ化が多い今クールですが、もはや新たな定番となった「漫画原作」のドラマも、依然として多いです。例えば、TOKIOの長瀬智也が『クロコーチ』(これも漫画原作でした)以来、久々に主演を務める『フラジャイル』(1月13日(水)22時〜/フジテレビ)。こちらは現在、月刊「アフタヌーン」で連載中の人気漫画が原作。患者を診ない医者……「病理医」を主人公とした異色の医療ドラマです。そして、深田恭子が主演する『ダメな私に恋してください』(1月12日(火)21時〜/TBS)も、中原アヤによる同名タイトルの人気漫画が原作となっています。「アラサーのダメ女の不器用な恋物語」と言うと、なんだか既視感を覚えてしまいますが、今回注目すべきなのは、深キョンの相手役となる「ドSの元上司」を演じるのが、朝ドラ『あさが来た』の出演によって、現在人気急上昇中の俳優、ディーン・フジオカであることでしょう。「五代さん」は、現代劇の中で、どんな魅力を振りまいてくれるのでしょう? さらに、今クールは主役級のドラマが重なった、窪田正孝のもう一本の作品、『MARS〜ただ、君を愛してる〜』(1月23日(土)深夜0時55分〜/日本テレビ)も、人気コミックを原作としたドラマです。90年代を席巻した少女漫画の金字塔である、惣領冬実の『MARS』。2004年には、台湾でもドラマ化されている人気漫画を原作とする本作で、窪田正孝とダブル主演を果たすのは、近頃ドラマや映画への出演が相次いでいるKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔。天才バイクレーサーという、これまでとは異なるクールな役どころを演じます。88年生まれの窪田と87年生まれの藤ヶ谷。実は、ほぼ同年代と言ってよい2人が、本作でどんな化学反応を示すのか、大いに気になるところです。

 とまあ、いろいろ書き連ねてきましたが、実際問題フタを開けてみるまで分からないのが、例によって連続ドラマの醍醐味だったりもするわけです。今クール「観て良かった!」と思えるのは、果たしてどのドラマなのでしょう? 気になるものは、リアルサウンド映画部で随時フォローしていくつもりなので、そちらもご期待ください。

■麦倉正樹
ライター/インタビュアー/編集者。「CUT」、「ROCKIN’ON JAPAN」誌の編集を経てフリーランス。映画、音楽、その他諸々について、あちらこちらに書いてます。

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