松坂桃李、ブレイクの理由は“正統派ヒーロー感” 『サイレーン』に見る俳優としての強み
俳優・松坂桃李の活躍がめざましい。2015年はすでに『日本のいちばん長い日』『ピース オブ ケイク』『図書館戦争 THE LAST MISSION』など、6本の映画に出演しているほか、10月20日に放送開始したドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)にて、刑事役の主人公・里見偲役を演じている。
若手俳優の登竜門とも呼ばれる“戦隊ヒーローもの”である『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日/09年)で俳優デビューを果たし、その後、連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(NHK/12年)の安岡信郎役や、大河ドラマ『軍師官兵衛』(NHK/14年)の黒田長政役で、存在感を示してきた松坂桃李。『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』では、ゴールデン・プライム帯民放連続ドラマ初主演となり、いわゆる正統派ヒーロー役で華麗なアクションも披露している。同ドラマでは、悪女・橘カラを演じる菜々緒と対照的な役割を演じている松坂だが、なぜ彼は今回、ヒーローとして配役されたのか。
ドラマ評論家の成馬零一氏に、松坂の役者としての特性からその理由を語ってもらった。
「松坂はいわゆる戦隊ヒーローものからキャリアをスタートさせた俳優ですが、主演を務めた『侍戦隊シンケンジャー』は侍をモチーフとした少し変わった作品でした。松坂演じる主人公の志葉丈瑠 / シンケンレッドが「殿」で、ほかのメンバーが「家臣」という設定になっていて、メンバーの中に明確な上下関係があり、松坂は超正統派のヒーローともいえる圧倒的な存在感を放っていたんです。正義感の強い真面目な青年で、だけどどこか少し惚けているキャラクターのイメージは、その後の役柄にも影響を与えました。現在放送中のドラマ『サイレーン』では、菜々緒演じる悪女を追い詰める刑事役を演じています。こうした正義のヒーロー役は、まさに彼のイメージにぴったりだと思います。特に今作は菜々緒の悪女ぶりが際立っていて、かなりやりたい放題に演じています。悪役が大暴れするためには、それに対峙する正義の役がしっかりとしていなければ、物語が機能しません。そういった意味でも、松坂の正統派ヒーローぶりはうまくハマっているといえるでしょう」
また、彼のこうした特性は、現在のドラマ界においても貴重だという。