二階堂ふみ、濡れ場やキスシーンへの思いを語る「本番の一瞬だけ相手を好きになる」
キスシーンなどに恥じらいはないか、という質問も。二階堂は「ないですね」ときっぱり。「この台詞、言いにくいな」「どういう動きなら自然になるかな」と悩むことはあるが、キスシーンや体が見えるシーンを演じることに抵抗や恥ずかしさはないという。「現場がそういう雰囲気になってるんで、作品づくりのひとつっていうか。本番の一瞬だけ相手の方を好きになるわけじゃないですか。お互いの本気度がぶつかりあって生まれる感情に『よかった』と思うこともあったりしますし」と述べつつ、「でも、よく訊かれます。普通の友だちに、ああいうシーン恥ずかしくないのって」と続ける。さらに、『私の男』(2013年)で濡れ場を演じた際に母親に報告した際に、相手が浅野忠信だったことについて「いいなあ」と羨ましがられたことなど、プライベートのエピソードも披露した。
10代最後の作品となった『軍師官兵衛』(2014年)では、切腹で自害するシーンを演じた。演技は、自分のそのときの気持ちの動きや体調、周りの役者の調子でも変わってくることを理由に「ゆううつだなあ」と感じることもあるというが、「現場に行くとやっぱりおもしろいな、楽しいなって」。二階堂について、コメント映像で出演した竹中直人は「役者さんにもタイプがあって、自分で役柄を解釈して演じてしまう人と、『わからない』という状態で演じる人。二階堂さんは常に役を自分の中に収めていかないタイプの女優さんですよね。そういう人は、いろんなアングルで攻めていける」とコメント。「自分に対する悔しさを常に持っている人なんじゃないですかね。『もっとできるだろう』というエネルギーがものすごく強いと思います」と印象を述べ、「若いのに怖いんですよ。人を見透かすような目をしやがって。ふざけんじゃねえっつうんだよ、どんな芝居もスイスイこなしやがって」と悪態混じりに賞賛した。
菅井が「二階堂さんにとって演じることとは」と訊かれると、悩みながらも「現場が好きなんですよね。役がどうとかってことも大事なんですけど、スタッフや監督と、みんなでひとつの作品をつくるのが好き。あくまでも俳優部の1人。役を演じる楽しさもあるけど、ものづくりの感覚に近い」と語り、「役によって、違う人物の人生をその期間送る。楽しい職業だなって思います」と笑顔を見せた。
(文=近藤雅人)