SF大賞作家・酉島伝法の最新作『無常商店街』 “異界に迷い込む町”を描く幻想譚
酉島伝法『無常商店街』(東京創元社)が11月28日に発売された。
【写真】「さようなら、普通の世界。この先、現実は保証されません。」
「皆勤の徒」で第二回創元SF短編賞を受賞、同題の作品集が日本SF大賞を受賞し、第一初長編『宿借りの星』も日本SF大賞を受賞するなど、SF界の鬼才として注目を浴び続ける酉島伝法。最新作『無常商店街』はどこにでもありそうな現代の日本の町を舞台にした幻想譚。
主人公は翻訳家の宮原。姉に頼まれ、猫の世話をするために仏眼荘というアパートに滞在することになる。「商店街には近づかないように」と忠告されていたものの、書店を探して町を歩いているうちにどこから来たのかわからなくなり、周りの景色が変容していき……。いつしか、宮原は異界の町に迷い込んでいた。
姉からの頼みで一見ふつうの、日本のどこかにありそうな場所へ赴くところからお話がはじまる各短編。人々が生活していて、商店街やスーパーや神社などがある、なんの変哲もない場所に見えつつ、そこには実は異界が重なっており……。
本書カバーを手がけたのは『紙魚の手帖』掲載時に扉絵を執筆したカシワイ。カバーの面と裏がつながっていて、作中に出てくる三つの舞台を見渡すことができる。誌面には酉島伝法×カシワイの特別対談も収録される。
■著者プロフィール
酉島伝法(とりしま・でんぽう)
1970年大阪府生まれ。2011年「皆勤の徒」で第2回創元SF短編賞を受賞。同作を表題作とした短編集は書籍デビュー作ながら第34回日本SF大賞を受賞。2018年には英訳版が、2021年には仏訳版が刊行され話題となる。2020年、初長編『宿借りの星』で第40回日本SF大賞を受賞した。ほかの著書に『奏で手のヌフレツン』などがある。
■書誌情報
『無常商店街』
著者:酉島伝法
発売日:2025年11月28日
出版社:東京創元社