【ライトノベル週間ランキング】
なにわ男子・道枝駿佑主演で映画化『君が最後に遺した歌』がラノベランキングで急上昇! 1位は25周年『キノの旅』最新刊に
電撃文庫の人気シリーズ最新巻が並んだRakutenブックスのライトノベル週間ランキング(2025年9月8日-14日)。1位は、2000年に刊行が始まって25周年となる時雨沢恵一のシリーズ最新巻『キノの旅XXIV the Beautiful World』(電撃文庫)。さまざまな法律や習慣を持つ国々を巡るキノという旅人と相棒のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)を描いていくストーリーで、それぞれの場所で起こる出来事が当たり前だと思っていた日常の隙間や裏側を見せて読む人をハッとさせる。
最新刊では、第四話「若い国」がなかなか辛辣。指導者層がみな若く議員には10代もいたことから素晴らしい国に違いないと訪れた男が、意外だが納得できる真実に気付く展開に、世界が飽食から高齢化にあえぐ国ばかりではないことを知る。第八話「×××××の旅」は、15歳で義務教育が終わり就職するまでの7日間だけ自由が与えられ、以後は死ぬまで働き続ける国から7日間の旅に出た×××××という若い人間にキノが出会うエピソード。旅から戻って25年働き続けながら、キノとの出会いを思い出す×××××は作家デビューして働き続ける作者か、『キノの旅』と出会って人生の支えにしてきた読者か。「―25 Years―」という副題の意味を考えながら、シリーズが積み重ねてきた時間を今一度、思い返したくなる1編だ。
2位は、安里アサトによるSFシリーズ『86―エイティ・シックス―Ep.14 ―ペイント・イット・ブラック―』(電撃文庫)。自動兵器として生み出され人類を攻撃し始めた〈レギオン〉との戦いが続いているが、一方で人類側にも主人公たちの敵となる勢力が現れるという絶望的な状況で物語が進んでいく。「最終篇、始動」という帯の言葉に従うなら、帰結はどのようなものになるのか。世界で累計386万部を突破したシリーズの行方を見守るファンの支持で上位に食い込んだ。
3位は、佐島勤による「魔法科高校の劣等生」シリーズの『魔法科高校の劣等生 夜の帳に闇は閃く3』(電撃文庫)。最強を誇る魔法師の司波達也が属する四葉家を陰で支える黒刃家の文弥と亜夜子をメインにしたスピンオフ作品で、任務の途中で文弥がロシア系ハーフの阿部ミラという少女と出会ったことから何かが始まる。長く続くシリーズで増えていくキャラクターたちへの関心を満たしてくれる点が人気となっているようだ。
4位は、大森藤ノの「ダンまち」シリーズ最新刊となる『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか21』(GA文庫)が10月11日の発売を控えてランクイン。外伝の『ソード・オラトリア ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝15』で、憧れのアイズ・ヴァレンシュタインが属する【ロキ・ファミリア】がダンジョンの60階層で壊滅の危機に陥っていることを知ったベル・クラネルによる最大級の冒険が幕を開ける。
【ロキ・ファミリア】側からの視点で壊滅の“その後”が描かれる『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア16』(GA文庫)も10月11日発売を前に13位にランクイン。本編と同じ時間で進む外伝が本編と同時に発売となるのは前代未聞だけに、どちらから手を付けていいのか大いに迷いそう。表紙に描かれているのはベルと【ロキ・ファミリア】のレフィーヤ。犬猿の仲だった2人の共闘が見られるということか?
9位にも「ダンまち」本編と外伝の最新刊にスピンオフの『ファミリアクロニクル episodeアスフィ』もセットになった『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 21 小冊子付き特装版+外伝ソード・オラトリア16 小冊子付き特装版+ファミリアクロニクル episodeアスフィ 3冊セットカレンダー付き特装版』(GA文庫)が登場。【ヘルメス・ファミリア】の団長でオラリオでも実両者として鳴るアスフィが、主神のヘルメスに苦労させられている様を拝めそうだ。
6位は、佐伯さんのラブコメシリーズ最新刊『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件11.5 SS冊子付き特装版』(GA文庫)。5.5巻以降の購入特典をはじめ、これまで公開されたショートストーリーから集めた57編を収録しており、ページ数は250ページを超える大ボリュームとなっている。SS冊子には描き下ろしの「天使風」をテーマにしたイラストに合うストーリーを、作者が書き下ろした短編が掲載。TVアニメの第2期が2026年4月から放送開始となる予定で、これから新刊も含めて盛り上がっていきそうだ。
2020年12月に刊行された一条岬『君が最後に遺した歌』(メディアワークス文庫)が突然7位に入ったのは、なにわ男子の道枝駿佑が主演して実写映画化されることが決まったから。道枝は同じ作者の『今夜、この世界から恋が消えても』(メディアワークス文庫)が2022年に実写映画化された際、福本莉子とW主演を務めて記憶障害を抱える少女を見守る男子を好演した。『君が最後に遺した歌』は作詞に取り組む少年が、文字の読み書きが苦手な障害を持ちながら作曲と歌唱の才能に秀でた少女と出会い、2人で歌を作ろうとするストーリー。日本だけでなく韓国でも大ヒットした前作同様、心を揺さぶる純愛ストーリーが映画として再び世界を感動させそう。
8位は、日向夏『薬屋のひとりごと18」(ヒーロー文庫)で発売から3ヵ月が経っても依然として高い人気を見せている。ランキングでは30位までにほか6冊が入ってシリーズとして支持を集めている様子。次のアニメ化が決まって展開が始まれば、ランキングのほとんどが『薬屋』の既刊で埋め尽くされる現象が再来することは確実だ。
10位も、「魔法科」や「ダンまち」の作者を上回る生産量で送り出され続ける鎌池和馬「とある」シリーズのスピンオフ最新刊『とある暗部の少女共棲(アイテム)』(電撃文庫)。本編の『とある魔術の禁書目録(インデックス)』に登場するアウトローたちのユニットのうち、学園都市第4位の超能力者で「原子崩し」(メルトダウナー)の能力を使う麦野沈利や滝壺理后、絹旗最愛、そしてフレンダ=セイヴェルンの4人で作った「アイテム」の物語で、学園都市きってのお祭り「大覇星祭」が繰り広げられる裏側で動く少女たちの姿を楽しもう。
※参考:Rakutenブックス「ライトノベル 週間ランキング」