映画『近畿地方のある場所について』大きく変わったのは“怪異”の描写? 原作とのストーリーを比較
背筋のホラー小説を原作とした映画『近畿地方のある場所について』が、8月8日より公開スタート。2025年のホラー映画でNo.1に輝くほどのオープニング成績を記録するなど、大きな話題を呼んでいる。
同作は原作小説からさまざまな点で設定が変更されており、独自の持ち味が生まれているのが特徴だ。その違いについて、まとめて紹介していきたい。
映画『近畿地方のある場所について』は、『サユリ』や『コワすぎ!』シリーズ、『貞子vs伽椰子』などを手掛けた白石晃士が監督を担当。菅野美穂、赤楚衛二がW主演を務めている。
主人公の小沢悠生(赤楚)は、オカルト雑誌の編集者。突如行方を消した先輩編集者の仕事を引き継ぎ、もう1人の主人公である女性記者・瀬野千紘(菅野)と共に特集記事を制作しようとする。しかし残された資料を確認していくなかで、さまざまな怪奇現象が近畿地方のある場所と関連していることに気づいてしまう……というのが、大まかなストーリーだ。
作品の作りとしては二層構造となっていて、小沢と瀬野が謎の真相に迫っていくパートと、心霊スポットの「首吊り屋敷」に突入した動画配信者の映像や、林間学校の生徒たちを奇妙な現象が襲う録画映像など、フェイクドキュメンタリー(モキュメンタリー)仕立てのパートが存在する。
とくに後者のパートでは、本物の怪奇現象を捉えたかのようなリアリティのある恐怖映像が作り上げられており、フェイクドキュメンタリー作家としての白石監督の実力が遺憾なく発揮されている。なお原作者の背筋は、元々同作を書く際に白石監督によるフェイクドキュメンタリー映画の金字塔『ノロイ』を意識していたという。※1
そのためこうした仕掛けは映画オリジナルというわけではなく、原作小説でも共通している。原作の場合は、オカルト雑誌の記事やネット掲示板の書き込み、インタビューのテープ起こしといった“本当に存在したかのような”文章の断片がパッチワーク的につなぎ合わされ、その奥から恐ろしい物語が浮かび上がってくるという仕掛けになっていた。
とはいえ映画版と原作では、細かい設定やエンディングについて色々な違いがある。以下では物語の内容に踏み込んでそれを検証していくので、ネタバレを避けたい人は注意してほしい。