ネイルは何のためにするもの? メンズネイリスト・立石準が小説『そのネイルは内緒のときめき』から受け取ったメッセージ

ネイルは前向きになるためのツール

──そのほかに、本作の描写やキャラクター、セリフなどで印象に残ったものがあれば教えてください。

 268ページの、仁美さんのお母さまが「私なんか……」と言うところ。僕も自分に対してすごく自信があるわけではないので、「僕なんか」って思っちゃうことがあって。言霊があると思っているから「僕なんか」って言わないようにしようと思ってはいるんですけど。だからお母さんの気持ち、すごくわかるなと思いました。そのあと、そんなお母さんを仁美さんが後押ししてくれるという流れもすごく素敵だなと思いながら読みました。そもそも仁美さんもちょっと自分に自信がないじゃないですか。

──そうですね。本作ではそんな仁美がネイルを始めて前向きになっていきます。

 そうそう。だから、ネイルをそういうツールとして書いてくださっているということに、ネイリストとして共感するし、うれしいなと思いました。

──本書を読んだことで、立石さんのお仕事に対する考え方などに何か影響があれば教えてください。

 何かを選択するときには、やっぱり心が踊るほうを選んだほうがいいんだなと思いました。仁美さんがそうだったじゃないですか。「次、何をしよう」って悩んだときに楽しいことを選んでいた。怜亜さんもそうですよね、そういうことがいい循環を生むんだろうなと思いました。最近そういう感覚を忘れていたので、僕も迷ったときは、ちょっとしんどいかもしれない道でも、楽しいと思ったほうを選ぼうかなと、読んでいて思いました。

──では、この作品をどなたかに勧めるならどなたに勧めたいですか?

 ネイリスト全員! この記事が公開されたらSNSで「めちゃめちゃオススメです」って言いたいです。ネイリストは絶対に面白がると思う。あと……怜亜くんがネイルをしながら、いろんな人のお悩みや相談に乗るっていうお話で、シリーズ化してもいいんじゃないかって勝手に考えちゃいました(笑)。

──いいですね。立石さんも、施術しながらお悩み相談をされることもありますか?

 ありますね。恋愛相談っていうよりも、経過報告みたいな感じですけど(笑)。定期的に通ってくださる方は、だいたい1ヶ月に1回くらいの頻度でいらっしゃるので、1ヶ月前は出会いを求めていると言っていた方が、付き合ったり結婚したりしていくお話はよく聞きます。意見はいらんからただ話を聞いてほしい時ってあるじゃないですか。ネイルって2時間~2時間半、対面で接客をするので、ネイリストはそういう役割を担っているところもあるのかなと思います。

──それこそ怜亜は、お話をきいて色やデザインを決めたりもしていましたが、立石さんもそういうお話をもとにネイルのデザインを決めることもありますか?

書籍と共に写っているのは立石氏の手。青を基調とした指先のネイルにも注目してほしい。

 例えば嫌なことが多かったというお客様には「景気付けにキラキラにしときましょう」とか、「魔除けでストーン入れときましょう!」みたいなことはありますね。もちろんお仕事的にできない方もいらっしゃいますけど、元気になってほしいという意味も込めて、そういう提案をすることはあります。

──『そのネイルは内緒のときめき』を読んで、ネイルサロンに行ってみたいと思う方もいるかもしれないですね。

 よく「私、爪がキレイじゃないからネイルサロンにはいけない」って勘違いされる方がいらっしゃるんですが、違うんですよ。キレイにするための場所だから、汚くていいんですよ。汚くてもいいし、短くてもいい。だからもしこの作品を読んでネイルサロンに興味を持ったら、臆することなく一回行ってみてほしいです。

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