『火垂るの墓』『アルプスの少女ハイジ』貴重な資料の数々を展示 高畑勲のアニメ作りの秘密に迫る「高畑勲展」

『ドラえもん』の企画書に『ルパン三世』の絵コンテも

 山本二三や男鹿和雄といった、宮﨑作品も含むスタジオジブリのアニメ映画に欠かせない美術監督たちによる仕事、ジブリ作品の雰囲気を色で支えた保田道世が『火垂るの墓』のために作った色指定表なども展示。アニメ作りのさまざまな工程で、大勢の人たちが持てる才能を発揮して、1本の作品を作り上げていることを確認できる。高畑監督の想像力とクリエイターたちの創作力が合わさって、数々の傑作が生み出されたと言えそうだ。

 貴重なところでは、高畑監督が『ドラえもん』の2度目のアニメ化にあたって書いた企画書や、『ルパン三世』の最初のTVアニメの第23話「黄金の大勝負!」の絵コンテもあって、今も続く人気シリーズの源流に高畑監督の存在があったことが分かる。ほかに東映動画(現東映アニメーション)で内田吐夢監督による『竹取物語』のアニメ映画化話が持ち上がった際に、高畑監督が個人的に錬った構想ノートも展示。そこから半世紀余を経て『かぐや姫の物語』へと結実させた高畑監督の作品への思いと執念を感じ取れる。

 展覧会は音声ガイドも用意。『かぐや姫の物語』で阿部右大臣(あべのうだいじん)を演じたタレントの伊集院光をナビゲーターに迎え、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のタチコマなど多彩な役を演じてきた声優の玉川砂記子のナレーションで、展覧会の見どころをガイドしている。高畑監督とは遠縁の親戚で、若い頃に薫陶を受けた映画監督の岩井俊二が展示作品に合わせてセレクトした公式プレイリストを、音声ガイドとセットで聴けるようになっている。各チケットにプラス700円(税込)で利用できる。

 グッズ売り場では展覧会の図録や『平成狸合戦ぽんぽこ』の正吉をかたどったぬいぐるみ付きキーホルダーなどを販売。併設のカフェでは『パンダコパンダ』にちなんだコラボメニューを用意して、展覧会に来た人たちを楽しませる。

『パンダコパンダ』をイメージしたコラボメニューの数々 ©TMS

■『高畑勲展-日本のアニメーションを作った男。』開催概要

『高畑勲展』メインビジュアル縦1 ©1994 Isao Takahata/Studio Ghibli, NH

会期:2025年6月27日(金)-2025年9月15日(月・祝)
主催:麻布台ヒルズ ギャラリー、NHK、NHKプロモーション
企画協力:スタジオジブリ
協力:(公財)徳間記念アニメーション文化財団、新潮社
協賛:ア・ファクトリー
後援:レッツエンジョイ東京、TOKYO MX、在日スイス大使館
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
開館時間:10:00-20:00(最終入館 19:30)
※6/27(金)-7/18(金)の火曜・日曜は10:00-17:00(最終入館16:30)
展覧会特設ウェブサイト:https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/isaotakahata-ex/
お問合せ:azabudaihillsgallery@mori.co.jp

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