【ライトノベル最新動向】真打落語家・春風亭吉好がラノベデビュー! 言葉のプロが手がけた初小説の見どころは?
3月のライトノベル新刊では、現役の真打落語家・春風亭吉好による『魔王は扇子で蕎麦を食う ~落語魔王与太噺~』(ファンタジア文庫)が作者の経歴でも設定でも最注目の1冊だ。若いうちから落語の実力を見せて前座でも飛び抜けた存在になっていた浮乃家陽太だったが、ある出来事がきっかけとなって大勢の前で話せなくなってしまった。
ただし、密かにVTuberとして活動する時だけは普通に振る舞えて、その夜も「ギル亭魔王」という名で配信を行っていたら、落語の中のある呪文に応えるように自身を「魔王」と呼ぶ少女が現れた。
先代から「魔王」を受け継いだばかりの少女は、現世で落語の前座として修業するために異世界から送り込まれたらしい。陽太は師匠に頼んで少女を自分の妹弟子にしてもらい、いっしょに前座として修業に励むことになる。少女の魔王がどんな落語を話すのか興味津々の設定。寄席の楽屋での振る舞い方や落語を話す時のポイントなど、本物の落語家ならではの知識もたっぷりと盛り込まれていて落語の世界にグッと近づける。陽太がトラウマを克服するための鍛錬もユニーク。落語好きもライトノベル好きも共に読んで楽しめる作品だ。3月19日発売。
ファンタジア文庫からは、第37回ファンタジア大賞《金賞》で羊太郎特別賞のショーン田中『天羽ルイナの空想遊戯 彼女の作った鬼畜ゲームを、僕が攻略するまで』も3月19日に発売。天羽ルイナは攻略不可能なオリジナルファンタジーゲームを作ることで知られた少女。そのゲームをクリア出来たら何でも望みを聞くと言っているが、作るゲームはとてつもなく鬼畜設定で攻略は至難。そんなバッドエンド必至のゲームに知略で挑む展開を楽しめそうだ。
ゲーム関連では、広沢サカキ『ゲームマスター獄木七笑に試される ~きみの人生逆転ショー、配信で見せつけちゃお?~』(MF文庫J)も面白そう。新宿の地下にある劇場では、【運命のゲーム】というものが開催されていて、勝てば自らの運命を好きに“書き替え”放題できるという。そんな【運命のゲーム】でゲームマスターをしている獄木七笑とゲームに挑む少女たちのやりとりから見えてくるのは、残酷な現実や騙し騙されるエキサイティングなストーリーなのか。ライトノベルの常識を超えた展開を期待したくなる。3月24日発売。
『SOA』『魔法科』『とある』といった超人気シリーズの新刊も続々登場。川原礫『ソードアート・オンライン プログレッシブ9』(電撃文庫)、佐島勤『新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち7』(電撃文庫)、鎌池和馬『とある暗部の少女共棲(アイテム)4』(電撃文庫)と、電撃文庫の看板シリーズが3月7日に揃って発売となる。『とある暗部の少女共棲(アイテム)』はTVアニメ化が決まっており、TVアニメの4期制作が決まった『とある科学の超電磁砲(レールガン)』とはまた違ったダークなヒロインたちの暴れっぷりが、これから大いに話題になりそうだ。
『よう実』『Re:ゼロ』といったMF文庫Jから、人気シリーズの最新巻も登場。衣笠彰梧『ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編1』と長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活40』で、『よう実』の方は2年生編の終わりに大きな出来事が起こり、3年生編の大波乱を予感させていただけに、どのような展開が待っているかが気になる。『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編公式ガイドブック Second List』を読んで振り返りつつ、激戦必至の3年生編に備えたい。いずれも3月24日発売。