【自給農】お金に左右されず自己肯定感を高めるにはーー 岡本よりたか氏が提唱する新しい時代の暮らし方

■精神面の安定を図るには自分の手で作ること

岡本氏は食べるための農作物だけではなく、自給用のシャツやパンツを藍染するための蓼藍(たであい)の栽培もしている。

――素晴らしい好循環だと思います。また、岡本さんは自給農を実践することで、心の豊かさなど精神的な面でのメリットも大きいと説いていますね。

岡本:何より、自給農を始めると自己肯定感が高まるんですよ。都会で働いていると“勝つことが正義”という教育をされてしまうでしょう。常に、勝て、勝て、勝てと言われてしまう。ひとたび負けてしまうと敗北者の烙印を押されてしまう。トップセールスマンは勝者ですが、2位は敗者扱い。これでは自己を失ってしまいますし、生きづらくなるのは当然ですよ。

――おっしゃる通りで、そういった経験を経て生きづらさを感じる現代人は多いと思います。

岡本:自分を肯定する手段でもっとも良いのは、まず、生活に必要なものを自分の手で作ってみることです。僕は自分の着る服も自分で作っています。自分で作るから好きな形にできるし、誰かと競うわけではないから、自己肯定感が高まるのです。争いごとをするのが馬鹿馬鹿しくなるし、かえって負けることの方が心地よくなったりする(笑)。こういった精神が譲り合いや助け合いの気持ちにつながりますし、みんなの力で何かを成し遂げるのが楽しくなる。これからの時代に合った暮らし方だと思います。

――若い人たちにとっても刺激になりそうです。

岡本:僕は決して、お金を稼がなくてなくてもいいとは言いません。むしろ、稼げるなら稼ぐべきでしょう。ただ、稼ぎたいと思って辛い仕事をしているなら、やるなと言います。やりたいことだけをやってお金を稼ぐのがいいと思うのです。

■稼いだお金は他人のために使うことの重要性

「おひとり農業」を続けられる理由は、幸福に生きることを実感しているからだと話す岡本氏。その思いを著した書籍『おひとり農業』を読み、日々の心と暮らしを軽やかにする人々が増えている。

――本当に自分がやりたいことを探し、見つける秘訣はあるのでしょうか。

岡本:1円も入ってこなくてもやり続けたいことはあるか、考えてみてください。やりたいと思うことがあれば、大概全力を尽くすようになりますよね。そうすることで、不思議とお金が入ってくるんです。何しろ100%の力が発揮できますから、嫌々50%の力しか使っていなかった仕事よりも、もしかすると収入が高くなる可能性もあります。理想は、趣味や娯楽を仕事に組み込んでしまい、稼いだお金は他人のために使うようにすること。これは他人を肯定することにも繋がりますし、他人のためにお金を使えば自分にかえってくるのです。こうすると、お金が循環し始めます。

――みんなが幸せになる、理想的なサイクルだと思います。

岡本:繰り返しますが、やりたくないことをやらないようにして、やりたいことだけを突き詰める生き方が大切です。お金を稼ごうとするのではなく、やりたいことを夢中になってやる。そうすると、リターンとしてお金が得られるのです。これは僕がこれまで経験したことですし、若い人たちに伝えたいことですね。

【内外出版社 2024年秋オンラインセミナー】
■岡本よりたか氏直伝!「今日からできる『保存食のすすめ』」

「自給農」の大切さや素晴らしさを書き下ろした『おひとり農業』の著者である岡本よりたか氏のセミナーが開催。今回は秋までに収穫したものや手に入った食材をどのように保存するかがテーマで、実践的なセミナー形式で構成される。リアルタイム開催だけでなく、アーカイブ動画配信もあるので何度も視聴できるプログラムとなっている。

【日時】
2024年11月27日(水)19:00〜21:00

【プログラム】
岐阜県郡上市にある岡本よりたか氏が主宰する「たねのがっこう」より実況ライブ配信。
岡本氏がつくる保存食の紹介や今年の秋冬に仕込める保存食の詳細など、スライドを交えて解説する。質疑応答あり。

【配信】
オンライン限定(zoom)
※12月2日~12月20日までのアーカイブ動画配信を予定。
本セミナー参加者には、後日アーカイブ配信のURL送付。

【出演者】
・岡本よりたか(無肥料栽培家・環境活動家)
・鈴木七沖(編集者/『おひとり農業』担当編集)

【参加費】
3500円(税込)
※チケット購入の際には、Peatixのアカウント作成をお願いいたします。

【イベント申込ページ】
https://peatix.com/event/4152355

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