「文学フリマ」東京ビッグサイト開催で注目 出版不況の中で「同人誌」人気の理由は?
「2000年代はコンビニでコピーしてホッチキスで留めただけのいわゆるコピー本も多かったんです。でも最近はそれが減って、冊子の形にする割合がすごく増えています。同人誌印刷所も短い納期で安く作れるようになりました。これなら手作業でコピー誌を作るより印刷所を使った方がコスパ・タイパがよいと考える人もいるでしょう。ジャンルも以前は漫画などに特化していましたが、最近は小説など文章の本も作れることをアピールしている。初めての人も『ちょっと注文して作ってみようかな』と気軽に参加しやすくなっています。これも文学フリマの功績のひとつかもしれません」
そのように注目を集める文学フリマだが、やはりコロナ禍においてはイベント開催や集客が厳しい状況があった。しかし、望月氏はそこで途切らせずに運営を続けていたからこそ、今の盛り上がりが生まれているのだと語る。
「2020年にコロナ禍になって、中止になることもありました。開催したとしても、参加者数はやはり減りました。2020年は全国で中止が5回でしたが、開催も4回はできているんです。2021年は(コロナの影響が大きい)東京でも2回開催できました。もし年に1回しかないイベントだったら、その1回が潰れると2年間スパンが空いてしまう。一方で文学フリマは全国各地で開催しているので、中止になる会場もあったものの、開催できる会場もあった。ずっと存在感が途切れなかったんです。『文学フリマ百都市構想』を掲げていましたが、それは持続可能性を高める意味もありました。まさにそれが功を奏したと思っています」
最後に文学フリマの今後の展望について語ってもらった。
「東京ビッグサイトの開催に注目してもらっていますが、それだけでなく東北エリアでも貴重なイベントとなっている岩手や、今年初開催となる香川など、全国各地の開催でも参加者を増やして盛り上げていきたいです。各地域の特色を皆さんに知ってもらえればと思っています」