専門誌が相次いで休刊、インタビュー激減  濃密な記事の受け皿はどこになる?

専門誌の醍醐味は濃密なインタビュー記事

  近年、専門誌の休刊が相次いでいる。2022年は専門誌の休刊のオンパレードとなった。代表的なものをあげるだけでも、3月には歌舞伎専門誌の「演劇界」が、7月には柔道専門誌の「近代柔道」とボクシング専門誌の「ボクシングマガジン」が、12月には美少女ゲームの専門誌の「電撃G's magazine」が休刊している。

  そして、今年は7月5日発売のSummer号をもって音楽雑誌の「Player」の休刊が決まった。「Player」は記者が高校時代に熱中していた音楽雑誌である。こうした専門誌の名物といえば、他では読めない濃密なインタビューであった。「Player」では記者が大好きなギタリストのアンガス・ヤングやゲイリー・ムーアなどのインタビュー記事が掲載され、熟読したものだった。

  また、「BANDやろうぜ」にはX JAPANなどのビジュアル系バンドのインタビューが掲載され、そちらにも記者は熱狂していた。しかし、「BANDやろうぜ」はとっくの昔に休刊になった。「Player」も休刊になるとなれば、ミュージシャンのインタビューが読める場がまた一つ、なくなってしまうのだ。

専門誌がなくなると発生する様々な問題

  こうした傾向が顕著なのは、専門誌がことごとく休刊になった美少女ゲームの業界である。記者は昨年、美少女ゲーム屈指の名作『さよならを教えて 〜comment te dire adieu〜』の作者、長岡建蔵のインタビューを行った。1990年~2000年代は数多くの美少女ゲーム雑誌が刊行され、毎号、原画家やシナリオライターのインタビューが掲載されていたものだった。

  しかし、子どもの目にも触れるネットニュースでは、いわゆる18禁ゲームの関係者にインタビューした記事はなかなか掲載が難しい。このように、分野によっては、専門誌が休刊すると関係者のインタビューがほとんど読めなくなる可能性もあるのだ。

  最盛期の美少女ゲーム業界には樋上いたる、麻枝准、折戸伸治、みつみ美里、いとうのいぢなどの稀有なクリエイターが多数結集し、その後の漫画家やアニメーターに影響を与えた例も少なくない。専門誌がなくなると、こうした業界の功績が顧みられる機会が減少してしまうことになる。

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